こんにちは、薬師のまっきーです。
今回は炭水化物の過不足リスクについて。
私たち日本人はお米やパン、うどん、パスタなど日々の食事で炭水化物を摂ることが多いですが、ついつい食べ過ぎてしまうこともありますよね。
またダイエットの方法として、炭水化物抜きダイエットや糖質制限ダイエットなどもよく目にします。
炭水化物が過剰だとどのようなリスクがあるの?
炭水化物が不足した場合はどんなリスクがあるの?
こんな疑問をお持ちの方もいると思うので、実際のところどうなのか学んでいきます。
まずはまとめです。
・炭水化物は糖質と食物繊維に分かれ、それぞれに過不足リスクがある
①糖質の過剰リスク
- 糖尿病
- 肥満
②糖質の不足リスク
- 筋力低下
- 集中力低下
③食物繊維の過剰リスク
- 軟便・下痢
- 便秘
④食物繊維の不足リスク
- 便秘・痔
- 生活習慣病のリスク増加
- 大腸がんの発生リスク増加
より詳しく知りたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
それでは、どうぞ!
糖質の過剰リスク
糖尿病
糖質が過剰な場合のリスクとしてまず挙げられるのは、糖尿病です。
血液中の糖質濃度のことを血糖値と呼び、血糖値が一定の水準を超えている状態を糖尿病と呼びます。
食事から摂取した糖質は消化管でブドウ糖に消化、吸収され、血液に溶け込み全身に運ばれます。
体内の各組織へ運ばれたブドウ糖は、すい臓から分泌されたインスリンというホルモンの働きで、細胞内に取り込まれてエネルギー源として利用されます。
ところが、何らかの原因でインスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりすると血液中のブドウ糖が細胞内に十分に取り込まれません。
この原因の一つと考えられているのが、糖質の過剰摂取です。
慢性的に糖質を過剰に摂取していると、血液中の大量のブドウ糖を細胞内に取り込もうとして、すい臓は大量のインスリンを分泌します。
オーバーワークを続けたすい臓はやがて疲弊し、インスリンの分泌量が減少。
細胞内に取り込めなくなったブドウ糖が血液中に残り、慢性的に血糖値が高くなる結果、糖尿病になると考えられています。
血液中のブドウ糖は血管を傷つけるので、糖尿病を放置すると失明や腎臓障害、手足の壊死など重篤な合併症につながります
肥満
糖質の過剰リスク2つ目は肥満です。
肥満はあらゆる生活習慣病と密接に関係するため、注意が必要です。
肥満:身長に対して体重が過剰な状態
肥満症:肥満に伴う合併症があるか、合併症のリスクが高い状態
それでは何故、糖質が過剰だと肥満になるのでしょうか?
食事から摂取された糖質は、ブドウ糖に消化されて吸収されます。
血液によって全身に運ばれたブドウ糖は細胞内に取り込まれ、さらに分解されて細胞内のミトコンドリアという器官でエネルギーに変換。
ところが、糖質を過剰に摂取していると、ブドウ糖をエネルギー源として使いきれません。
ただ、余ったからといって捨ててしまうのはもったいないので、私たちの体は余ったエネルギー源をいざという時のために保管しようとします。
ブドウ糖のままでは保管に向かないので、保管しやすい形に作り変えたのが中性脂肪。
慢性的に糖質が過剰になると中性脂肪がどんどん蓄積され、肥満となります。
中性脂肪は外部刺激から身を守るためにある程度は必要ですが、過剰になると悪影響を及ぼします
糖質の不足リスク
筋力低下
糖質不足のリスク1つめは筋力低下です。
私たちの体でエネルギー源として利用される栄養素は主に3つ。
- 炭水化物(糖質)
- 脂質
- たんぱく質
このうち、1番最初に利用されるのが糖質、次いで脂質です。
エネルギー源として利用できる糖質と脂質がなくなると、筋肉中のたんぱく質を分解してエネルギー源として利用します。
糖質が不足している状態が続くと筋肉がどんどん分解され、次第に筋力が低下します
筋力が低下すると、運動能力が落ちるだけでなく基礎代謝量も減ってしまいます。
ダイエットのために無理な食事制限をすると、かえって太りやすい体になる恐れがあるため注意が必要です。
もし糖質制限ダイエットをするのなら、たんぱく質まで不足しないようご注意ください
集中力低下
糖質が不足していると、集中力が低下します。
私たちの体でも特に重要な臓器である脳。
脳は基礎代謝量のうち約20%のエネルギーを消費するといわれています。
カロリー量にすると300~400kcalほど。
400kcalはランニング45分ほどの運動量に相当
これだけのエネルギーを消費する脳ですが、エネルギー源として利用できるのは原則ブドウ糖だけ。
実際は飢餓状態になればケトン体という成分も利用可能ですが、ブドウ糖と比べるとエネルギー効率は大幅に下がります。
そのため、糖質が不足していると脳が十分なパフォーマンスを発揮できず、集中力低下などの影響が出ます。
勉強や仕事で疲れて集中力が落ちると甘いものが欲しくなるのは、脳がブドウ糖を欲しているからなんですね
食物繊維の過剰リスク
軟便・下痢
水溶性の食物繊維は便をやわらかくして腸内の移動をスムースにします。
排便を促すために重要な働きですが、水溶性食物繊維が過剰になると便がやわらかすぎて軟便や下痢になってしまいます。
便秘
不溶性の食物繊維は便のかさを増して大腸を内側から刺激して動きを活発化させます。
摂取量が適切であれば、便のかさが少ないことによる便秘の改善につながります。
しかし、不溶性食物繊維が過剰になると、便のかさが増えすぎて腸内で便が詰まり、かえって便秘になってしまうことも。
増えすぎた便に大腸を刺激され、腹痛を伴うこともあります。
現代人は食物繊維が不足しがちなので、過剰となる心配は少ないですが、サプリなどからも摂取している方は注意が必要です
食物繊維の不足リスク
便秘・痔
食物繊維は便をやわらかくして腸内の移動をスムースにしたり、便のかさを増して大腸を内側から刺激して動きを活発化させたりします。
そんな食物繊維が不足すると、スムースに排便できず大腸内に便が滞留して便秘に。
大腸内に留まっている便からは水分が吸収され、徐々に便が固くなります。
固くなった便を排便するとき、肛門に負担がかかり、痔となるリスクが高まります。
生活習慣病のリスク増加
食物繊維は腸内で糖質やコレステロールを吸着して体外へ排出する働きを持ちます。
そのため、適切な量を摂取できていれば、血糖値の上昇を緩やかにしたり、LDL(悪玉)コレステロールの値を減らしたりする効果が期待できますが、不足しているとこれらの働きが十分に行えません。
その結果、生活習慣病にかかるリスクが増加すると考えられます。
大腸がんの発生リスク増加
食物繊維が不足していると、腸内の善玉菌が増殖できず、悪玉菌が優勢になります。
悪玉菌の中には発がん性物質を産生する菌もいるため、腸内環境の悪化は大腸がんの発生リスクを高めることが示唆されています。
肉類は悪玉菌のエサとなるたんぱく質や脂質を含み、善玉菌のエサとなる食物繊維が少ないため、肉類ばかりの食生活の方は要注意です
おわりに
今回は炭水化物の過不足リスクについて学んできました。
改めてまとめです。
・炭水化物は糖質と食物繊維に分かれ、それぞれに過不足リスクがある
①糖質の過剰リスク
- 糖尿病
- 肥満
②糖質の不足リスク
- 筋力低下
- 集中力低下
③食物繊維の過剰リスク
- 軟便・下痢
- 便秘
④食物繊維の不足リスク
- 便秘・痔
- 生活習慣病のリスク増加
- 大腸がんの発生リスク増加
糖質、食物繊維それぞれに過不足リスクがあるため、普段の食事からも摂取量に気を付けたいですね。
特にダイエットで糖質を極端に減らしている方は、筋力低下につながる恐れもあるため注意してください。
それでは今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考資料
・食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
・食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
・便通、便の状態と大腸がん罹患との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (ncc.go.jp)