肩こりは食事で変えられる?薬剤師が解説する原因と栄養ケア

「朝起きたときから肩が重い」
「夕方になると、首や肩がガチガチに固まってくる」
「ほぐしてもまたすぐ肩がこってくる」
そんな肩こりを感じている人は、少なくないのではないでしょうか。

肩こりというと、姿勢や筋肉の使い方、マッサージやストレッチなど「外側からのケア」に目が向きがちです。もちろんそれらも大切ですが、実は肩こりが慢性化している背景には、体の内側の状態が深く関わっていることがあります。

筋肉を動かし、血流を保ち、ダメージを回復させる。
これらはすべて、毎日の食事からとる栄養によって支えられています。

この記事では、
・肩こりが起こる原因
・肩こりを内側から支える栄養素
・日常の食事で取り入れやすい食材・食べ方
を、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。

まっきー

「ほぐしても戻る肩こり」を繰り返さないためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください

目次

肩こりが起こるのはなぜ?主な原因

肩こりは、肩や首の筋肉を使いすぎているから起こる――
そう思われがちですが、実際にはいくつかの要因が重なって起こる不調です。
まずは、肩こりの背景にある主な原因を整理してみましょう。

肩こりの背景にある4つの要因
  • 長時間同じ姿勢による筋緊張
  • 血流低下・冷え
  • ストレスによる無意識の力み
  • 筋肉の回復に必要な材料不足

デスクワークやスマートフォン操作など、長時間同じ姿勢が続くと、肩や首の筋肉は動かないまま緊張し続けることになります。本来、筋肉は動くことで血流が保たれますが、動きが少ない状態では血液の巡りが低下。その結果、疲労物質がたまりやすくなります。

さらに、冷えやすい環境では血管が収縮し、筋肉への血流が低下しがちです。血流が滞ると、酸素や栄養が十分に届かず、筋肉はこわばりやすくなります。「冷えると肩が固まる」と感じるのは、このためです。

ストレスも肩こりの大きな要因のひとつです。緊張や不安が続くと、無意識のうちに肩や首に力が入り、筋肉がゆるみにくくなります。自覚がないまま力み続けることで、慢性的なこりにつながることも少なくありません。

加えて見落とされがちなのが、筋肉の回復に必要な材料不足です。筋肉は日々ダメージを受けながら修復されていますが、栄養が不足していると回復が追いつかず、疲労が蓄積してしまいます。

まっきー

このように、「動かない」「流れない」「回復しない」状態が重なることで、肩こりは慢性化しやすくります

肩こりを内側から支える主な栄養素

肩こりは、姿勢や筋肉の使い方だけでなく、筋肉を動かし、ゆるめ、回復させるための「栄養」が足りていないことで悪化することがあります。
ここでは、肩こりを内側から支えるために意識したい栄養素を見ていきましょう。

栄養素主な働き多く含む食材例
たんぱく質筋肉・血管・神経の材料肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンB群エネルギー代謝・疲労回復豚肉、魚、玄米、納豆
酸素を運び、筋肉の酸欠を防ぐ赤身肉、レバー、小松菜、ひじき
ビタミンE血行促進・冷え対策ナッツ類、植物油、かぼちゃ
マグネシウム筋肉の緊張をゆるめる海藻類、豆類、ナッツ
ビタミンC筋肉・血管の修復を助けるブロッコリー、柑橘類、キウイ
オメガ3脂肪酸血流サポート・こわばり対策青魚、えごま油、アマニ油
カルシウム筋肉の収縮に関与乳製品、小魚、切干大根

① たんぱく質

筋肉や血管、神経の材料となる栄養素です。
肩や首の筋肉も、日々のダメージを受けながら入れ替わっており、その修復に欠かせません。たんぱく質が不足すると、筋肉が疲れやすく、こりが回復しにくい状態になりがちです。

「ほぐしてもすぐ戻る」「慢性的に重い」と感じる場合、材料不足が背景にあることも。毎食少しずつでも補うことが、肩こりを繰り返しにくい体づくりにつながります。

② ビタミンB群

糖質や脂質、たんぱく質をエネルギーに変える際に欠かせない栄養素です。
筋肉はエネルギーが不足すると緊張しやすく、だるさや重さを感じやすくなります。

特に忙しい日やストレスが多いと消耗しやすいため、慢性的な肩こりがある人ほど意識したい栄養素です。「疲れが抜けにくい」「肩が重だるい」と感じる場合は、エネルギー代謝がうまく回っていない可能性もあります。

③ 鉄

体内で酸素を運ぶ役割を担う栄養素です。
鉄が不足すると、筋肉に十分な酸素が届かず、酸欠状態になりやすくなります。その結果、肩や首の筋肉がこわばり、重さやだるさを感じやすくなることがあります。

特に冷えやすい人、疲れやすい人、女性では不足しがち。肩こりが「重い」「動かすとだるい」タイプの人は、鉄不足が関係している可能性も考えられます。

④ ビタミンE

血行を促進し、体のすみずみまで栄養や酸素を届けるサポートをする栄養素です。
冷えやすい人は血流が滞りやすく、肩や首の筋肉も固まりがちになります。ビタミンEは抗酸化作用も持ち、筋肉や血管へのダメージの蓄積を防ぐ役割も。

寒さや冷房で肩こりが悪化しやすい人、手足が冷えやすい人にとって、意識したい栄養素です。

⑤ マグネシウム

筋肉の緊張をゆるめる働きを持つミネラルです。
筋肉は「収縮」と「弛緩」を繰り返すことで動いています。ですが、マグネシウムが不足するとこの切り替えがうまくいかず、力が抜けにくくなります。その結果、肩や首が常に緊張した状態になり、こりを感じやすくなることも。

ストレスが多い人や、力が入りやすい人ほど消耗しやすい栄養素です。

⑥ ビタミンC

筋肉や血管、結合組織の修復を助ける栄養素です。
肩こりは筋肉への小さなダメージの積み重ねでもあるため、回復を支える栄養が欠かせません。

また、ストレスがかかると消費されやすい点も特徴です。「肩こりとストレスが重なる」「疲れると一気に悪化する」という人は、ビタミンCの不足が関係している可能性もあります。

まっきー

栄養素の摂り方として、まずは食事から整えることが基本ですが、難しい場合はサプリを利用するのも一つの手。ただし、過剰摂取のリスクや服用中の薬との飲み合わせもあるため、心配な方は医師や薬剤師など専門家に相談してくださいね。

栄養素の働きについてより詳しく知りたい方は▼こちら▼も合わせてご覧ください。
【たんぱく質】:たんぱく質の働きとは? 不足するとどうなる? 基礎からわかる3つの役割
【ビタミンB群】:ビタミンB群とは?種類・働き・不足サイン・食材
【鉄】:鉄不足で起こる不調とは?原因・症状・対策
【ビタミンE】:ビタミンEの働きとは?不足症状・摂取量・食事での摂り方をわかりやすく解説
【ビタミンC】:正しいビタミンCの基本!免疫・疲労回復・美容への影響と摂取方法

肩こりが気になるときにおすすめの食材・メニュー

肩こりを内側から整えるには、特別な食材を探すよりも、筋肉・血流・回復を支える食材を日々の食事で無理なく重ねることが大切です。
ここでは、肩こりが気になるときに取り入れやすい食材と、簡単なメニュー例を紹介します。

筋肉の土台をつくる食材

鶏肉・豚肉

筋肉の材料となるたんぱく質に加え、疲労回復を助けるビタミンB群を含む食材です。
肩や首の筋肉を使い続ける人ほど、意識して取り入れたい主菜になります。

メニュー例

  • 鶏むね肉と野菜のスープ
  • 鶏肉の照り焼き
  • 豚肉と野菜の味噌炒め

卵・大豆製品

消化にやさしく、忙しい日や疲れている日でも取り入れやすいたんぱく源です。
筋肉の回復を支えつつ、食事の負担を抑えたいときにも向いています。

メニュー例

  • ゆで卵・卵焼き
  • 湯豆腐
  • 納豆ごはん

血流と回復を支える食材

青魚(さば・いわしなど)

良質な脂質や鉄を含み、血流をサポートする食材です。
筋肉に酸素や栄養を届けやすくし、こりの回復を助けます。

メニュー例

  • さばの味噌煮
  • 鮭のちゃんちゃん焼き
  • いわしの蒲焼き

ナッツ類・植物油

ビタミンEを含み、血行を促す働きがあります。
冷えやすく、肩が固まりやすい人に取り入れたい食材です。

メニュー例

  • サラダにナッツをトッピング
  • 冷奴にオリーブオイル少々
  • 温野菜にえごま油をかける

こりにくい体を支えるサポート食材

緑黄色野菜(ブロッコリー・小松菜など)

ビタミンCやミネラルを含み、筋肉や血管の回復を支える食材です。
副菜や汁物に取り入れやすく、日常的に続けやすいのも特徴です。

メニュー例

  • ブロッコリーの温サラダ
  • 小松菜のおひたし
  • 野菜たっぷり味噌汁

海藻類

マグネシウムなどのミネラルを含み、筋肉の緊張をゆるめるサポート役。
力が入りやすい人や、こりが抜けにくい人におすすめです。

メニュー例

  • わかめと豆腐の味噌汁
  • ひじきの煮物
  • もずく酢
まっきー

一度にすべてを意識する必要はありません。「今日は主菜」「今日は副菜」と、できるところから少しずつ取り入れてみてください

1日の中での取り入れ方

:血流スイッチを入れる
  • きちんと食べられる朝
    焼き鮭/玉子焼き/小松菜と人参と油揚げの味噌汁/ごはん
    →鮭のたんぱく質と脂質を補い、卵や野菜でビタミンやミネラルを補給。温かい食事で、朝の血流をゆるやかに立ち上げます。
  • 忙しい朝
    トースト/目玉焼き/ヨーグルト+ナッツ
    →時間がない朝はたんぱく質(卵・ヨーグルト)に、ビタミンEと脂質(ナッツ)を足すだけでも、血流サポートに十分な一歩になります。
  • 食欲がない朝
    野菜スープ/バナナ
    → 温かいものを少量でも入れて、体を冷やさずにスタート。
昼:こりを溜めない選び方
  • お弁当
    豚の生姜焼き/ほうれん草の胡麻和え/玉子焼き/ごはん
    → 主菜+野菜をそろえることで、午後のこりを溜めにくくします。
  • 外食
    定食(肉または魚の主菜+野菜の副菜+味噌汁)
    →丼や麺単品より、定食スタイルが血流と回復を支えます。
  • コンビニ
    サラダチキン/具だくさんスープ/カットフルーツ
    →コンビニ派の人は普段選んでいるものに合わせて上のどれかを足すと、栄養バランスが整いやすくなります。
夜:筋肉をゆるめて回復
  • しっかり作れる夜
    さばの味噌煮/小松菜のおひたし/ひじきの煮物/味噌汁/ごはん
    → たんぱく質と脂質、ビタミン・ミネラルをしっかり補い、1日の疲れをリセットします。
  • 疲れている夜
    鶏肉と野菜の味噌汁/ごはん
    →疲れている日は汁物にすることで消化の負担を減らしつつ、たんぱく質と野菜をまとめて摂ることができます。
  • 遅い時間の夜
    かきたまスープ/温野菜(人参、ブロッコリー、さつまいもなど)
    → たんぱく質を少量だけ足して、睡眠を優先。スープと温野菜で体を温めます。

まとめ|肩こりは「ほぐす」だけでなく「支える」ケアも大切

肩こりは、単に肩や首の筋肉を使いすぎた結果ではなく、姿勢・血流・ストレス・栄養といった要因が重なって起こる不調です。動かないことで筋肉が緊張し、血流が滞って栄養や酸素が届きにくくなり、さらに回復に必要な材料が不足すると、肩こりは慢性化しやすくなります。

だからこそ、マッサージやストレッチとあわせて、筋肉を支える栄養を「食べるケア」として取り入れることが大切になります。
今回紹介した栄養素や食材は、どれも特別なものではありません。毎日の食事の中で、主菜や副菜を少し意識するだけでも、体の内側の環境は少しずつ変わっていきます。

すべてを完璧に取り入れる必要はありません。
「今日はたんぱく質を意識する」
「夜は温かいものを選ぶ」
そんな小さな積み重ねが、こりにくい体づくりにつながります。

つらい肩こりを我慢する前に、今日の食事からできることを、ひとつ取り入れてみてください。

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参考文献

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