「手足が冷えてつらい」
「肌の乾燥やくすみが気になる」
「肩こりがなかなか改善しない」
スキンケアや防寒を意識していても、なかなか改善しないこれらの不調には、体の内側の栄養バランスが関係していることがあります。
今回紹介するビタミンEは、強い抗酸化作用を持ち、血行や細胞の健康を支える栄養素。
冷えやすい体や、回復力の低下を感じやすい時期には、特に意識したい栄養素のひとつです。
この記事では、ビタミンEの働きや不足した場合に起こりやすい症状、毎日の食事で無理なく取り入れる方法について、分かりやすく解説します。
ビタミンEとは?

ビタミンEは、体を酸化ストレスから守る働きをもつ脂溶性ビタミンです。
一口にビタミンEといっても、実は8種類もあるのをご存知でしょうか?
- トコフェロール類(α・β・γ・δ)
- トコトリエノール類(α・β・γ・δ)
この中で、人の体内で最も生理活性が高く、栄養指標として使われているのが「α-トコフェロール」です。食品成分表やサプリメントの表示も、基本的にこのα-トコフェロール量を基準にしています。
ビタミンEの最も大きな役割は、強い抗酸化作用。体内で発生する活性酸素は、増えすぎると細胞や血管を傷つけ、老化や不調の原因になります。ビタミンEはこれらの酸化ダメージを抑え、体を内側から守る働きをします。
ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ると相乗効果が発揮されることをご存知でしょうか?
ビタミンEは脂質の酸化を防いだ後、一度働きを終えた状態になります。
ここで役立つのがビタミンCです。ビタミンCは、働きを終えたビタミンEを再活性化させるため、一緒に摂ることで抗酸化作用が持続しやすくなるとされています。
まっきー野菜・果物(ビタミンC)と、油脂やナッツ(ビタミンE)の組み合わせは相性◎です
ビタミンEの主な働き


ビタミンEは、体を酸化ストレスから守る働きをもつ脂溶性ビタミンです。
特に細胞膜を守る役割があり、肌や血管、血流の健康と深く関わっています。
① 強い抗酸化作用で、細胞を酸化ストレスから守る
ビタミンEの最も大きな特徴は、強い抗酸化作用です。
私たちの体では、呼吸やストレス、紫外線などによって「活性酸素」が日々発生しています。ビタミンEの重要な役割は、この活性酸素によるダメージから細胞や血管、肌などを守ること。細胞膜のように脂質を多く含む部分では、ビタミンEの働きが欠かせません。
特に肌では、細胞膜の酸化を防ぐことで、うるおいを保つバリア機能の維持にも関与しています。



この先紹介するビタミンEの働きのベースとなるのが、「抗酸化作用」です
② 細胞膜を守り、体の基本的な働きを支える
私たちの体をつくる細胞は、細胞膜という薄い膜に包まれています。
ビタミンEは、この細胞膜を酸化から守り、細胞の構造や働きを安定させる役割があります。
細胞が健康な状態を保てることで、体のさまざまな機能がスムーズに働きやすくなります。
目立たない働きですが、全身の健康を支える土台となる重要な役割です。
③ 血行を保ち、冷えやすい体を内側から支える
ビタミンEは、血行を保つ働きでも知られています。
これは、血管や赤血球が酸化によるダメージを受けにくくなることで、血流が滞りにくくなるためです。
その結果として、手足の冷えや肩こりなど、血行不良に関係する不調の予防につながると考えられています。
「血流を良くする」というより、血流が悪くなりにくい状態を保つ栄養素と言えます。
④ 神経や筋肉の働きを守り、機能低下を防ぐ
ビタミンEは、神経や筋肉の正常な働きの維持にも関与しています。
欠乏すると、しびれや感覚異常などの神経症状が起こることが知られています。
これは、神経細胞の膜が酸化によるダメージを受けやすくなるためです。
ビタミンEは、神経や筋肉が本来の働きを保つための守りの栄養素として重要です。



ビタミンEの働きは「活性酸素から細胞を守る」→「血流低下を防ぐ」「神経や筋肉の機能維持」という流れ。免疫機能維持や動脈硬化予防に対しても研究が進められています。
ビタミンEの摂取量と過不足リスク


ビタミンEの摂取量
ビタミンEは、主に「α-トコフェロール」として摂取量が示されています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人におけるビタミンEの1日の目安量(一定の栄養状態を維持するのに十分な量)は以下の通りです。
| 年齢区分 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 6.5 mg | 5.0 mg |
| 30〜49歳 | 6.5 mg | 6.0 mg |
| 50〜64歳 | 6.5 mg | 6.0 mg |
| 65〜74歳 | 7.5 mg | 7.0 mg |
| 75歳以上 | 7.0 mg | 6.0 mg |



「成人で6~7mg程度」と考えると分かりやすいです
ビタミンEの不足リスク
ビタミンEが不足すると、体のさまざまな部分で小さな不調が重なりやすくなります。
- 手足の冷えを感じやすい
- 肩こりや首こりが続きやすい
- 疲れが抜けにくい
- 体が重くだるく感じる
- 手足のしびれや違和感
- 肌の乾燥やくすみが気になる
ビタミンEが不足すると、細胞や血管、神経が酸化によるダメージを受けやすくなります。
その結果、血流が滞りやすくなったり、神経の働きがスムーズに行われにくくなることも。
また、細胞のダメージが蓄積しやすくなることで、疲れが回復しにくい、体がだるく感じるといった変化につながることもあります。
肌においても、細胞が守られにくくなることで、乾燥や外的刺激に弱くなる可能性が指摘されています。



ビタミンEは「不足しにくい栄養素」と思われがちですが、生活習慣や食事内容によっては不足する場合もあるため要注意です
- 含有量が多い食材が限られている
- 脂質を控えすぎる食生活
- 酸化ストレスが多い生活では消費量が増える
ビタミンEは一部の魚介類やナッツ、植物油などに多く含まれます。ですが、これらの食材は意識しないと摂取量が安定しにくく、毎日しっかりと量を食べる人は限定的。
また、ビタミンEは油と一緒に摂ることで吸収されやすい性質を持つため、ヘルシー志向で油を減らし過ぎると、ビタミンEの摂取量・吸収率の両面で不利になることがあります。
これら摂取量が不足することに加えて、酸化ダメージの増大でビタミンEの消費量が増えることも問題です。ストレスや喫煙、紫外線などで体の中の活性酸素が増えると、抗酸化作用を持つビタミンEの消費量が増えます。
冬は特に、寒さや血行不良、乾燥などが重なり、必要量が高まりやすい時期です。
ビタミンEは、
「全く摂れていない」より「必要量に少し届いていない」状態が続きやすい栄養素



冷えや疲れ、回復力の低下を感じやすいときは、摂取量だけでなく、消費量が増えていないかという視点も大切になります
ビタミンEの過剰リスク
ビタミンEは不足だけでなく、摂りすぎにも注意が必要な栄養素です。
特にサプリメントを利用する場合は、過剰摂取のリスクを理解しておくことが大切です。
- 出血しやすくなる
- 血液が固まりにくくなる
- 頭痛や吐き気
- 胃腸の不調
※これらは主に、高用量サプリメントの長期摂取で報告されています。
通常の食事で、ビタミンEを過剰に摂取する心配はほとんどありません。
問題となるのは、サプリメントなどによる過剰な上乗せ摂取です。
亜鉛の耐容上限量(UL)は下記の通りです。
| 年齢区分 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 800 mg | 650 mg |
| 30〜49歳 | 800 mg | 700 mg |
| 50〜64歳 | 800 mg | 700 mg |
| 65〜74歳 | 800 mg | 700 mg |
| 75歳以上 | 800 mg | 650 mg |



ビタミンEは、適量を守ってこそ健康効果が期待できる栄養素です。食事を基本にし、サプリメントは必要な場合のみ慎重に活用しましょう
ビタミンEの摂り方


食事でビタミンEを摂取する
ビタミンEは、毎日の食事から無理なく取り入れることができる栄養素です。
身近な食材を意識して選ぶことで、必要量を満たしやすくなります。
ビタミンEを多く含む食材例(※含有量は「α-トコフェロール換算・おおよその目安」です。)
| 食材(1食分の目安量) | ビタミンE含有量 | 特徴 |
|---|---|---|
| アーモンド(20粒・約20g) | 約6.0mg | 含有量が多く間食にも使いやすい |
| ひまわり油(小さじ1) | 約3.0mg | 効率よく摂れるが使いすぎ注意 |
| なたね油(小さじ1) | 約2.5mg | 加熱調理に使いやすい |
| かぼちゃ(100g) | 約4.5mg | 冬に取り入れやすい定番野菜 |
| アボカド(1/2個) | 約2.5mg | 脂質と同時に摂れる |
| ほうれん草(茹で100g) | 約2.1mg | 他の抗酸化栄養素も豊富 |
| ブロッコリー(茹で100g) | 約2.1mg | ビタミンCも同時に摂れる |
| モロヘイヤ(茹で100g) | 約6.5mg | 野菜の中では含有量が高い |
| いりごま(大さじ1) | 約1.5mg | 少量で使いやすく和食に取り入れやすい |
| 鮭(焼き1切れ) | 約1.5mg | 毎日の主菜に取り入れやすい |
| いわし(焼き1尾) | 約1.3mg | 血行を意識したい人向け |
| 卵(1個) | 約0.6mg | 少量でも積み重ねに役立つ |
| マヨネーズ(大さじ1) | 約1.5mg | 油脂由来、使いすぎに注意 |
ビタミンEは、特定の食品に極端に多いというより、複数の食材を組み合わせて摂る栄養素です。
摂り方のポイントを押さえることで、効率よく取り入れることができます。
ビタミンEの摂り方のポイント・注意点
- 油と一緒に摂ると吸収されやすい
脂溶性ビタミンのため、油を使った調理や油脂を含む食品と相性が良い - 極端な脂質制限は不足につながりやすい
「油を控えすぎる食生活」では吸収量が低下しやすい - 一度に大量摂取する必要はない
毎食少しずつ取り入れる方が、体内で安定しやすい - ナッツ類・油脂は量に注意
健康に良い反面、カロリーオーバーになりやすいため適量を意識する - 野菜+油脂の組み合わせがおすすめ
かぼちゃ×油、青菜×ごま・油などは実践しやすい組み合わせ
実践!毎日の食事のメニュー例
ビタミンEは、特別な料理でなくても、日々の食事の組み合わせで無理なく取り入れることができます。摂り方のコツは、一度に大量摂取ではなく、毎食少しずつ取り入れること。ここでは、毎日のメニュー例を朝・昼・夜別に紹介します。
朝:吸収しやすさと軽さを意識
- アボカド&チーズのホットサンド
→ 朝に不足しがちな脂質を自然に補える - ヨーグルト×アーモンド×はちみつ
→普段の朝食に加えることで、ビタミンEを補給。 - ほうれん草と卵の炒め物
→血行と肌機能維持を意識した和食ごはん。ゴマを振ると◎
昼:外食・忙しい日でも意識できる組み合わせ
- 鶏肉とブロッコリーの炒め物
→野菜×脂質を意識。お弁当にも入れやすい。 - アボカド&えびのサンドウィッチ+野菜スープ
→ビタミンEを補いつつ、スープで内側から温める。 - 鮭おにぎり+ゆで卵+ほうれん草のごま和え
→コンビニなどでも買いやすい組み合わせ。
夜:1日の疲れを癒しながら体を整える
- かぼちゃのそぼろ煮 + 豆腐と小松菜の味噌汁
→小松菜のビタミンCと合わせることで抗酸化作用アップ。 - いわしのつみれ汁 + モロヘイヤのおひたし
→つみれ汁で体を温め、モロヘイヤでお腹にもやさしく。 - 鮭とほうれん草のクリームシチュー
→体を冷やしにくく、肌もサポート。
サプリメントで補給する
ビタミンEは、基本的には食事からの摂取が望ましい栄養素です。
しかし、食生活の偏りや生活環境によっては、食事だけでは十分に補いにくい場合もあります。
そのようなときに、サプリメントを補助的に活用するという選択肢があります。
サプリ使用がおすすめな人
- 油脂類やナッツ類をあまり食べない人
- 外食・加工食品中心の食生活が続いている人
- 乾燥肌や冷えが気になりやすい人
- 食事量が少なく、栄養が不足しがちな人
- 医師・薬剤師から栄養補助を勧められている人
※あくまで「補助」であり、主役は食事であることが前提です。
サプリを選ぶポイント
- α-トコフェロール量が明記されているものを選ぶ
- 1日の摂取目安量を大きく超えない設計のもの
- 不要な添加物が少ないシンプルな成分構成
- 継続しやすい価格・形状(カプセル・粒など)
- 信頼できるメーカー・販売元の製品
サプリ使用の注意点
- 摂りすぎると、出血傾向などのリスクがある
- 食後に摂ることで吸収率が高まりやすい
- 複数のサプリを併用する場合は成分の重複に注意
- 薬を服用中の人は、必ず医師・薬剤師に相談する



ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、「多ければ多いほど良い」わけではありません。食事内容を見直したうえで、不足が気になる場合に、適量を補う意識が大切です。不安がある場合は、自己判断せず専門家に相談してください。
サプリメントは、食事を補うためのサポート役です。
毎日の食事を土台にしながら、必要に応じて上手に活用していきましょう。
まとめ
ビタミンEは、体内の活性酸素から細胞を守る抗酸化作用をもつ脂溶性ビタミンです。
この働きによって、血流の低下を防ぎ、神経や筋肉の機能を保つなど、体の土台となる機能を支えています。
不足すると、冷えやすさ、肩こり、手足のしびれ、肌の乾燥など、日常の不調として表れやすくなります。一方で、過剰に摂取すれば体に負担をかける可能性もあるため、「適量を継続すること」が大切です。
ビタミンEは、ナッツ類や植物油、魚介類など、身近な食品から摂取できます。
ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせることで、抗酸化作用を効率よく活かすこともできます。
まずは毎日の食事を見直し、不足しやすいと感じる場合のみ、サプリメントを補助的に活用しましょう。ビタミンEを意識した食生活は、季節を問わず、体調管理や健やかな毎日につながります。

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