「風邪をひきやすい」
「味がわかりにくい」
「肌荒れが続く」
「髪がパサつく」
最近、こんな不調はありませんか?
実はこれらは、現代の食生活で不足しやすい「亜鉛」が関わっていることがあります。
亜鉛は、免疫力・味覚・皮膚や髪の健康・代謝・ホルモンの働きなど、全身の300以上の酵素を支える重要なミネラル。ところが、日本人は慢性的に摂取量が少なく、特に女性・高齢者・成長期の子どもは不足しやすいといわれています。
本記事では、
- 亜鉛の働き
- 1日の目安量・過不足リスク
- 亜鉛を多く含む食材と朝昼夜のメニュー例
- サプリの適切な使い方
まで、薬剤師の視点でわかりやすく解説します。
「最近なんとなく不調…」と感じる方は、今日からの食事を見直すきっかけにしてみませんか?
亜鉛とは?

亜鉛は、体の中でつくることができない「必須ミネラル」の一つで、健康維持に欠かせない栄養素です。とくに重要なのは、300種類以上の酵素の働きを支えていること。代謝、免疫、細胞の修復、ホルモン調節など、あらゆる生命活動の土台になっています。
体内では主に筋肉・骨・肝臓などに存在しますが、蓄えられる量は多くありません。そのため食事からこまめに補う必要がありますが、亜鉛は一緒に摂る食材によって吸収率が大きく異なります。例えば肉や魚などの動物性たんぱく質と一緒だと吸収されやすく、植物性食品に含まれるフィチン酸は亜鉛の吸収を妨げるため、注意が必要です。
まっきー不足しやすいといわれるミネラルだからこそ、意識して摂りたい栄養素です
亜鉛の主な働き


冒頭でもお伝えした通り、亜鉛は体内の300種類以上の酵素を支える重要な栄養素。関与する働きも多岐にわたります。今回は代表的な次の5つの働きに絞って紹介していきます。
- 免疫機能を支える
- 味覚を正常に保つ
- 皮膚・髪・爪の健康維持
- 細胞の成長・発達に関与
- ホルモンや代謝の調整
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. 免疫機能を支える(風邪予防・炎症ケア)
亜鉛は、免疫細胞が新しく作られ、正しく働くための“設計図づくり”に関わっています。
ウイルスを排除するNK細胞やT細胞の働きを助けるため、体の防御力を底上げする存在です。また、炎症反応を適切にコントロールする作用もあり、過度な炎症が起こるのを防いでくれます。
不足すると、免疫細胞の入れ替わりが滞り、風邪をひきやすい・治りが遅い・喉や鼻の違和感が続くといったトラブルを招きやすくなります。



普段から疲れやすい人や、季節の変わり目に体調を崩しやすい人は、毎日の食事で亜鉛を摂取してみましょう
2. 味覚を正常に保つ(味が薄い・味がわからない対策)
舌にある「味蕾(みらい)」は数十日で生まれ変わる、とても寿命の短い細胞。その再生には亜鉛が不可欠です。亜鉛が不足すると味蕾がうまく再生できず、味がしない・味がわかりにくい・塩気を強く感じるなど、味覚の変化が起こりやすくなります。
特に、加工食品中心の食事・外食が多い人・高齢者は亜鉛摂取が不足しやすく、味覚障害の一因になることもあるので注意が必要です。



食事を楽しむうえで欠かせない役割ですね
3. 皮膚・髪・爪の健康維持(ターンオーバーの材料)
皮膚や髪は、常に古い細胞が剥がれ、新しい細胞が作られるターンオーバーを繰り返しています。その合成反応を支えるのが亜鉛。コラーゲンが作られる際にも必要なため、肌のハリ・キメにも関係しています。
不足すると、ニキビが治りにくい・乾燥や赤みが出やすい・抜け毛や白髪が増える・爪が割れやすいといった美容面の不調としてあらわれます。



美容を気にする人にとっても、見過ごせないミネラルです。
4. 細胞の成長・発達に関与(子ども・妊娠期に重要)
亜鉛は細胞分裂をスムーズに行うための必須成分で、成長や発達のスピードが早い時期ほど多く必要とされます。成長期の子どもはもちろん、胎児の発育や妊娠中の母体の健康維持にも必須。
不足が続くと、身長の伸びが遅い・食欲が出にくい・発育の遅れが報告されており、注意が必要です。



育ち盛りの子どもや妊娠中・授乳中の方は、特に意識して摂りたい栄養素です
5. ホルモンや代謝の調整(疲れ・だるさ・食欲低下にも関与)
亜鉛はインスリンや甲状腺ホルモン、性ホルモンなど、多くのホルモンの働きに関与。また、たんぱく質やDNAを作るプロセスの要となるため、体全体の代謝を支える存在でもあります。
不足すると、疲れやすい・だるさが抜けない・集中力が続きにくい・食欲が落ちるといった、原因の分かりにくい不調としてあらわれることも。



日々のパフォーマンス維持にも欠かせない栄養素です。
亜鉛の摂取量と過不足リスク


亜鉛の摂取量(推奨量)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人における亜鉛の1日の推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)は以下の通りです。
| 年齢区分 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 9.0 mg | 7.5 mg |
| 30〜49歳 | 9.5 mg | 8.0 mg |
| 50〜64歳 | 9.5 mg | 8.0 mg |
| 65〜74歳 | 9.0 mg | 7.5 mg |
| 75歳以上 | 9.0 mg | 7.0 mg |



女性は妊娠中期~後期は +2.0 mg、授乳中は +3.0 mg となっています
亜鉛は体の中に多く貯めておけないミネラルのため、毎日こまめに補う必要があります。しかし日本人の平均摂取量は推奨量を下回っており、特に女性・高齢者・偏食のある方は不足しやすい傾向があります。
亜鉛の不足リスク
亜鉛は細胞の新陳代謝や酵素の働きに深く関わるため、不足すると全身に影響があらわれます。
- 味覚の異常(味が薄い・感じにくい)
- 風邪をひきやすい・治りにくい
- 肌荒れ・ニキビが治りにくい
- 抜け毛・髪のハリ不足
- 食欲低下・倦怠感・集中力の低下
- 子どもの成長遅延
特に、外食中心・加工食品中心・肉や魚をあまり食べない食生活では、亜鉛摂取が不足しやすくなります。さらに植物性食品に多い「フィチン酸」が吸収を妨げるため、**摂っていても吸収されにくい“潜在的不足”**が起こりやすいのも特徴です。
- 肉・魚を食べる量が少ない
- 食物繊維やフィチン酸(全粒粉・豆類)が多い食生活
- アルコール常飲(代謝に亜鉛が使われる)
- 妊娠・授乳・成長期で必要量が増える
- 加工食品中心の食事



これらが複合すると、気づかないうちに慢性的な不足に陥りやすくなります
※食物繊維・フィチン酸が多い食生活と亜鉛吸収について
腸活で推奨される食物繊維や、玄米・豆類に多いフィチン酸は、亜鉛と結びついて吸収を妨げることがあります。ただし、「食物繊維=悪い」というわけではなく、下記のように工夫すれば問題ありません。
- 動物性たんぱく質(肉・魚・卵)を組み合わせると亜鉛の吸収が高まる
- フィチン酸の多い食品は、発酵・加熱で吸収阻害がやわらぐ(発酵食品・炊飯など)
「腸活を頑張っていたら亜鉛が不足していた」ということを避けるために、
玄米+肉、豆類+魚、野菜+卵 など、動物性と植物性食品を一緒にとるのがポイントです。
亜鉛の過剰リスク
食事だけで過剰になることはほとんどありませんが、サプリメントで高用量を続けると注意が必要です。
- 吐き気や腹痛、胃の不快感
- 銅欠乏(貧血・疲労感・免疫低下)
- 鉄・カルシウム・マグネシウムの吸収阻害
特に問題となるのが「銅欠乏」。亜鉛を長期間とりすぎると、腸で亜鉛と銅が競合し、銅の吸収が著しく低下します。
亜鉛の耐容上限量(UL)は下記の通りです。
| 年齢区分 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 40 mg | 35 mg |
| 30〜49歳 | 45 mg | 35 mg |
| 50〜64歳 | 45 mg | 35 mg |
| 65〜74歳 | 45 mg | 35 mg |
| 75歳以上 | 40 mg | 35 mg |
サプリを利用する場合は、10〜15 mg/日程度の範囲に収め、複数のサプリを併用しないことが基本です。



「摂れば摂るほど良い」というわけではないので、サプリなどを利用する時は用法用量を守るようにしましょう
亜鉛の摂り方


食事で亜鉛を摂取する
亜鉛は特定の食材に偏って多く含まれるため、「どの食品にどれくらいあるのか?」を知っておくと、日々の食事で補いやすくなります。
亜鉛を含む食材例(1食分の目安量)
| 食材(1食分の目安量) | 亜鉛含有量 | 特徴 |
|---|---|---|
| 牡蠣(3個:60g) | 約8.4 mg | 群を抜いて高含有。少量で一日の半量以上を補える。 |
| アサリ(むき身50g) | 約1.5 mg | みそ汁・酒蒸しに使いやすく、鉄・ビタミンB12も豊富。 |
| しらす(大さじ2:20g) | 約0.4 mg | 量は少ないが、朝食に加えやすく継続しやすい。 |
| 牛肩ロース(赤身100g) | 約6.0 mg | 吸収率が高く、主菜として安定して補給できる。 |
| 鶏もも肉(皮つき100g) | 約1.4 mg | 日常的に使いやすい。たんぱく質との相乗効果で吸収UP。 |
| 豚レバー(50g) | 約3.0 mg | 亜鉛・鉄・ビタミンAが豊富。栄養密度が非常に高い。 |
| 卵(1個:50g) | 約0.7 mg | 朝食にプラスしやすく、毎日取り入れやすい。 |
| チーズ(プロセス20g) | 約0.7 mg | 吸収率が良く、少量で補える“濃縮食品”。 |
| 木綿豆腐(150g) | 約1.5 mg | 植物性の中では安定して含む。味噌汁・鍋で使いやすい。 |
| 納豆(1パック:45g) | 約1.0 mg | 発酵によりフィチン酸が減り、亜鉛が吸収されやすい。 |
| アーモンド(10粒:15g) | 約0.5 mg | 間食向き。食物繊維が多く腸活にも◎。 |
| ごま(小さじ2:6g) | 約0.35 mg | 含有量は多いが吸収は低め。他のたんぱく質と合わせると◯。 |
| わかめ(乾燥1g→戻して10g) | 約0.1 mg | 含有量は少なめだが、味噌汁で毎日摂りやすい。 |
| 切り干し大根(戻し50g) | 約0.3 mg | 植物性ミネラル源。煮物にすると無理なく食べられる。 |
| 枝豆(可食部50g) | 約0.7 mg | 植物性たんぱく質が豊富で吸収のサポートにも。 |
| ココア(純ココア5g) | 約0.3 mg | 手軽に摂れるが、飲料は砂糖量に注意。 |
亜鉛は、食材によって吸収率が大きく変わるミネラルです。摂っているつもりでも体に入りにくいケースがあり、「日本人が不足しやすい理由」の一つでもあります。
亜鉛を効率よく摂取する食べ方のポイントは…
- 動物性食品は吸収率が高い
- 植物性食品はフィチン酸に注意。ただし調理と組み合わせでカバー可能
- ビタミンC・クエン酸・たんぱく質と一緒に摂ると吸収UP
- お酒をよく飲む人は不足しやすい
- 一度に大量より、こまめに摂るほうが◎



亜鉛を摂取していく具体的なコツとしては、「肉や魚を1日1食は摂る」「朝食に卵や納豆をプラス」「サラダにナッツやチーズを足す」などの方法があります
実践!毎日の食事のメニュー例
亜鉛は「一度にたくさん」よりも、「毎食コツコツ」のほうが吸収率も良く、続けやすいのがポイントです。魚介類や肉類、乳製品、大豆製品、野菜など、種類を分けて取り入れると、自然に1日の推奨量へ近づきます。ここでは、毎日のメニュー例を朝・昼・夜別に紹介します。
朝:忙しい朝でも手軽に亜鉛を補給
- 納豆卵かけご飯+わかめとアサリの味噌汁
→忙しい朝でも手軽に納豆・卵・わかめ・アサリが揃って亜鉛を補いやすい。 - チーズトースト+枝豆ポタージュ
→チーズ・枝豆で亜鉛+たんぱく質を補給。ポタージュは冷凍枝豆で簡単に。 - しらすおろし+豆腐とわかめの味噌汁+卵焼き
→大根おろしで消化をサポート。
昼:昼休憩でも亜鉛を意識
- 鶏もも肉と野菜の炒めもの弁当
→野菜と肉を一緒に摂ることで亜鉛の吸収率がアップ。 - 牛丼+わかめの味噌汁
→牛肉でしっかり亜鉛を補給。味噌汁のわかめでミネラルバランスを整えて。 - 鮭おにぎり+ゆで卵+海藻サラダ
→コンビニなどでも買いやすい組み合わせ。豆腐やアサリの味噌汁も加えると◎
夜:1日の疲れを癒しながら体を整える
- カキフライ+大根サラダ
→牡蠣でしっかり亜鉛を補給。大根で消化をサポート。 - 鶏ももと白菜の生姜煮
→柔らかい鶏ももと白菜で胃にやさしく、生姜で体も温まって疲れた夜に最適。 - 豚レバーの簡単スタミナ焼き+チーズ入りサラダ
→下処理済みのレバーを焼いて、しょうが焼きのタレを絡めるだけ。サラダにアーモンド・チーズ を散らしてミネラル追加。
サプリメントで補給する
亜鉛は食事から摂れるのが理想ですが、不足しやすい生活パターンや吸収を妨げる要因が重なると、毎日の食事だけでは補いきれないケースもあります。そんなときにサプリが役立ちます。
ただし、カルシウムは摂りすぎによるリスクもあるため、使い方にはいくつか注意点があります。
* 推奨量と摂りすぎのリスク
- サプリとして摂る場合、基本は1日5~15mgを目安。
(食事との合計で、摂取基準の上限値を超えないようにします) - 亜鉛を過剰に摂り続けると、銅欠乏(吐き気・便秘・免疫力低下)リスクが高まる。
- 食後服用がおすすめ(空腹だと胃の負担になることも)
* サプリを使いたい人はこんなケース
- 牡蠣・赤身肉などの亜鉛豊富な食品をあまり食べない
- ベジタリアン・ヴィーガンで、動物性食品の摂取が少ない
- お酒をよく飲む(代謝で亜鉛が消費されやすい)
- 慢性的に疲れやすい、口内炎ができやすい、味覚の変化を感じる
* 亜鉛サプリを選ぶときのポイント
- 亜鉛単体タイプ
亜鉛をピンポイントで補給したい人向け。配合量の調整がしやすい。 - マルチミネラル・ビタミン タイプ
亜鉛以外のミネラルやビタミンをまとめて摂れる。食生活が不規則な人向け。 - 牡蠣エキス系
自然由来の成分を好む人向け。吸収率が高いとされるものもあるが、製品差も大きく過度な期待は禁物。



サプリの服用で胃の不快感や便秘、吐き気などの消化器症状が続く場合は一度中止して様子を見ましょう。改善が見られなければ医療機関を受診してください
サプリはあくまで「不足分の補助」であり、基本は食事での摂取がベースです。食事+サプリのバランスを意識して、無理なく続けられる方法を選びましょう。
まとめ
亜鉛は、免疫や皮膚・粘膜の健康、味覚の維持、ホルモンの働きなど、体の土台を幅広く支える重要なミネラルです。しかし体内に蓄えておくことができず、不足しても自覚しにくいため、気づかないうちに欠乏しやすい栄養素でもあります。
現代の食生活では、肉や魚介類の摂取量が少ないことに加え、食物繊維や大豆製品を意識した食事によって、亜鉛の吸収率が下がるケースもあります。そのため「健康的な食事をしているつもりでも足りていない」ことが起こりやすい点は、意識しておきたいポイントです。
亜鉛は、牡蠣や肉類などの動物性食品を中心に、豆類・ナッツ・海藻などを組み合わせることで、日々の食事から無理なく補給可能。朝昼夜のどこか1食だけでも意識することで、摂取量は安定しやすくなります。
毎日の体調や食生活を振り返りながら、無理のない形で亜鉛を取り入れることが、将来の健康を支える確かな積み重ねにつながります。まずは今日の食事に「卵・肉・豆腐」のどれか1つを足すところから始めてみませんか?

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