冬に体調を崩しやすい人へ|寒さ・乾燥・日照不足に強くなる栄養素と食材

気温がぐっと下がり、空気の乾燥もピークを迎える冬。
「毎年この季節になると体調を崩しやすい…」
「手足が冷えて疲れが抜けにくい」
「肌や喉が荒れやすい」
そんな不調を感じていませんか?

冬は “寒さ・乾燥・日照不足”の3つが重なる季節。
この環境の変化は、体温調節や免疫機能、メンタル面にも大きな負担をかけます。
さらに年末年始の忙しさや生活リズムの乱れも加わるため、風邪・だるさ・冷え・肌荒れなど、体調を崩す方が一気に増える時期です。

こうした冬特有の不調は、毎日の食事で不足しがちな栄養素を補うことで、ぐっと軽くできる可能性があります。

本記事では、冬に起こりやすい不調の背景と、薬剤師の視点から 「冬に強くなる栄養素と食材」 をわかりやすく解説します。

今年の冬は、毎日の食事で体調を底上げして、元気に乗り切りましょう!

目次

冬に多い不調とその理由

冬は、他の季節と比べて身体への負担が大きくなる要素が重なります。
寒さ
乾燥
日照不足
特にこの3つは、体の機能を大きく揺さぶるため、さまざまな不調の原因に。
それぞれがどのように不調につながるのか解説します。

寒さで血流が低下ー冷え・だるさ・コリにつながるー

気温が下がると、体は熱を逃がさないように血管をギュッと縮めます。
その結果、血流が低下して酸素や栄養が体の各組織に届きにくくなり、次のような症状につながります。

寒さによる症状
  • 手足が冷える
  • 疲れやすくなる
  • 肩こり・頭痛が起きやすくなる
  • 朝から動けない
まっきー

寒さで血管が狭くなることで血圧も上昇しやすく、毎年冬は相談件数が増加します

寒さによる不調の対策としては、まずは体を温めること。適度な運動や入浴時に40℃前後の湯船に10~15分つかると良いでしょう。また、血管が集まっている首・手首・足首を温めるのも、全身の血流改善に効果的です。

食事ではエネルギーを作り出す糖質やたんぱく質、ビタミンB群を摂ること。血行を促進するビタミンEも意識して摂ってみましょう。また、冷たいものよりも温かい汁物の方が、体の内側から温めやすくなります。

空気の乾燥ー粘膜のバリア機能が弱まりやすいー

冬は湿度が低く、さらに暖房による乾燥が重なります。
乾燥は 鼻・喉・肌の粘膜を弱らせる大きな原因 で、次のようなトラブルにつながります。

乾燥による症状
  • 風邪・インフルエンザなどの感染症にかかりやすい
  • のどの痛み
  • 鼻のムズムズ
  • 肌荒れ・かゆみ
まっきー

粘膜はウイルスや細菌から体を守る最前線のバリア。乾燥でダメージを受けると免疫力も低下し、感染症リスクが高まります


乾燥対策と言えばまずは保湿。入浴後に全身に保湿ケアをすることで、肌トラブルを防ぎます。
のどや鼻の乾燥対策には室内の湿度も重要で、40~60%が理想とされています。加湿器や濡れタオルなどで過度な乾燥を防ぎましょう。

食事では肌や粘膜の材料となるたんぱく質の他、コラーゲン生成を助けるビタミンC、肌の健康維持に役立つビタミンAやEを積極的に摂りたいところ。こまめな水分補給も重要です。

日照不足ービタミンDが減り、免疫・メンタルに影響ー

冬は日照時間が年間でも最も少なくなる季節です。
日光を浴びる量が減ることで、体内で作られる ビタミンDが不足しやすくなる のは大きなポイント。その他、セロトニンやメラトニンなど気持ちや睡眠に関わるホルモンのバランスも崩れやすくなります。

日照不足による症状
  • 免疫力の低下
  • 自律神経の乱れ(頭痛・肩こり・だるさなど)
  • 気分が落ち込み、やる気の低下
  • 睡眠リズムの乱れ

対策としては、朝起きてすぐにカーテンを開けて日光を浴びること。冬場は日中に30分程度は日光を浴びると、充分に光の刺激を受けて体内リズムが整いやすくなります。また、起床・就寝の時間をなるべく一定に保つのも効果的です。休日にはつい夜更かしや遅くまで寝て過ごしがちですが、平日と休日で大きくリズムを崩さないよう注意しましょう。

食事ではセロトニンの材料となるトリプトファンを含む食材(乳製品、バナナなど)や、セロトニン合成を助けるビタミンB6を含む食材(鶏肉、さつまいもなど)がおすすめです。また、体内での合成量が減りやすいビタミンDを含む食材(鮭、きのこ類など)も意識してみると良いでしょう。

まっきー

免疫とメンタルの両方に関わるビタミンD は、冬こそ意識して補いたい栄養素のひとつです

年末年始の生活リズムの乱れも重なる

冬はイベントが多く、食生活が乱れやすい時期。
暴飲暴食、運動不足、睡眠リズムの乱れが重なることで、疲労や不調がさらに悪化します。

まっきー

寒さ × 乾燥 × 日照不足 × 生活リズムの乱れ
これらが重なり、冬は1年の中でも特に体調を崩しやすい時期です

症状別に詳しく知りたい方は▼こちら▼
・【免疫】「風邪をひきやすい…」と感じたら? 免疫力を支える栄養素と食事術
・【疲れ】疲れが抜けないのはなぜ?食事で整える「疲れ対策」
・【睡眠】寝てもスッキリしない?「睡眠の質」を高める食事術
・【冷え】“冷え”の原因と栄養ケア。今日からできる「食べる温活」

冬の不調に役立つ栄養素

冬は「寒さ・乾燥・日照不足」の影響で、免疫・血流・粘膜・メンタルの不調が重なりやすい季節です。
ここでは、冬の環境ストレスに強くなるために意識したい栄養素をご紹介します。


① ビタミンD:日照不足で特に欠きやすい“冬のキープレイヤー”

ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨や歯の形成に関わることはご存知の方も多いでしょう。ビタミンDはその他にも免疫力やメンタル面の安定にも関与しており、不足すると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりします。

ビタミンDは日光を浴びることで体内で合成されますが、冬は日照時間が短く屋外活動も減るため、体内での合成量は減ってしまいます。そのため、冬には特に意識して摂りたいビタミンDですが、厚生労働省の調査では日本人の多くが、1日の目安量よりもビタミンDの摂取量が不足していることが明らかに。

魚やきのこ類などに多く含まれているので、冬の体調ケアに取り入れてみてください。

ビタミンDが多い食材

鮭・サバ・ぶり・いわし・きのこ類・卵 など


② 鉄:冷え・疲れやすさ・だるさの底上げに

冬の冷えや疲労感の背景には、「鉄不足」が隠れていることがあります。
ヘモグロビンが酸素を運ぶ役割を持つため、鉄が不足すると 血流が悪くなり、冷えやだるさを感じやすい のが特徴です。

まっきー

基準値内でも鉄が不足している「隠れ貧血」も多く、冬の不調の一因になりやすいと言われています

鉄が多い食材

赤身肉・レバー・かつお・ほうれん草・あさり・卵 など


③ 亜鉛:乾燥で弱る“粘膜”の修復に必須

乾燥が厳しい冬は、鼻や喉の粘膜がダメージを受けやすい季節です。
亜鉛は粘膜の修復に関わり、さらに免疫細胞の働きをサポートする重要なミネラルです。

まっきー

不足すると粘膜のバリア機能が低下して感染症リスクが高まるため、冬には欠かせない栄養素です

亜鉛が多い食材

牡蠣・牛肉・卵・納豆・高野豆腐・アーモンド など


④ ビタミンA・C・E:抗酸化作用で乾燥から肌と粘膜を守る

冬の乾燥は、肌荒れ・かゆみ・のどのひりつきなどを引き起こします。
粘膜と皮膚の健康を守るビタミンA、コラーゲンを合成するビタミンC、血流を促すビタミンEは「乾燥対策トリオ」として優秀です。また、それぞれが強力な抗酸化作用を持っているため、免疫細胞を酸化ダメージから守って免疫力を高めてくれます。

まっきー

ビタミンA・C・Eは一緒に摂ると相乗効果で抗酸化作用が高まることから、「ビタミンACE(エース)」と呼ばれることもあります

ビタミンA・C・Eが多い食材
  • ビタミンA(β-カロテン)が多い食材
    →にんじん・ほうれん草・小松菜・卵・レバー など
  • ビタミンCが多い食材
    →柿・キウイ・ピーマン・ブロッコリー・小松菜 など
  • ビタミンEが多い食材
    →アーモンド・かぼちゃ・アボカド・植物油 など

⑤ オメガ3ー脂肪酸:冬の“乾燥×炎症”を抑える

オメガー3脂肪酸(EPA・DHA)は血流改善や肌の保湿サポート、炎症を抑える働きがあります。乾燥による肌荒れや、のどの違和感が増える冬との相性がとても良い栄養素です。

オメガー3脂肪酸が多い食材

サバ・いわし・さんま・鮭・えごま油・アマニ油

薬剤師としての注意点

冬はビタミンD・鉄・亜鉛など不足しやすい栄養素が多く、サプリを使いたいという相談も増えます。
安全に活用するために、次のポイントだけは押さえておきましょう。


① ビタミンD

骨粗しょう症の薬(アルファカルシドール・エルデカルシドールなど)使用中の方は、サプリの追加は過剰になる恐れがあります。必ず医師・薬剤師に相談を。

② 鉄

自己判断での長期摂取はNG。胃の不快感や便秘・黒色便などが起きたり、体内に蓄積しやすいため、必要性の判断が大切です。また、一部の抗生剤と同時に摂取すると互いに吸収を邪魔してしまうため、30以上は時間を空けて摂りましょう。

③ 亜鉛

高容量のサプリを続けると、銅不足を招くことがあります。用量を守り、長期間の過剰摂取は避けましょう。

④ 海外製マルチビタミン

日本より高用量のものが多く、ビタミンAや鉄の過剰摂取につながる場合があります。基本は国内の基準に沿った製品を選ぶと安心です。

まっきー

サプリはあくまで食事を補うもの。不調が続く場合や薬を服用中の方は、早めに専門家へ相談してください。

栄養素の働きについてより詳しく知りたい方は▼こちら▼も合わせてご覧ください。
【ビタミンC】:正しいビタミンCの基本!免疫・疲労回復・美容への影響と摂取方法
【ビタミンD】骨と免疫を守るビタミンDの働きと不足リスク、上手な摂り方
【鉄】:鉄不足で起こる不調とは?原因・症状・対策を解説

冬に嬉しい食材

冬は「冷え」「乾燥」「免疫低下」が重なりやすい季節。
そのため、身体を内側から温めたり、粘膜を守ったり、日照不足で不足しがちな栄養を補える食材がポイントになります。

ここでは、冬の不調対策に役立つ“冬に嬉しい食材”をわかりやすく紹介します。


① 鮭・サバ・ぶり:ビタミンD&オメガ3で冬の最強コンビ

冬の不調対策に欠かせないのが、ビタミンDとオメガ3(EPA・DHA)。これらを同時に補えるのが鮭・サバ・ぶりなどの魚です。特に鮭・ぶりは冬に旬を迎えるため、栄養価も高くおすすめです。

おすすめメニュー
  • 鮭ときのこのホイル焼き
  • ぶり大根
  • サバ缶カレー

② 牡蠣・牛肉:亜鉛&鉄で粘膜と血流をサポート

冬の乾燥で弱りやすい鼻・喉の粘膜。
その修復に欠かせないのが 亜鉛
そして、冷えや疲れを感じやすい冬は も重要です。
粘膜を強くしておくと、風邪や感染症対策にもつながります。

牡蠣や牛肉は亜鉛や鉄が豊富です。卵も取り入れやすいので手軽なミネラル補給におすすめ。

おすすめメニュー
  • 牡蠣とキャベツの酒蒸し
  • 牛肉と小松菜のオイスターソース炒め
  • 豆腐とワカメのかき玉スープ

③ 冬野菜(大根・白菜・ねぎ):疲れにくい体づくりに

冬野菜は水分が多く、消化が良く、温かい料理にも取り入れやすいのが特徴。

  • 大根:消化を助け、胃腸の調子を整える
  • 白菜:低脂質・高ボリュームで、胃が重くなりがちな冬に最適
  • ねぎ:昔から“風邪予防”として使われ、体を温める働きがある

煮込み料理・鍋・スープに入れるだけで冬の体をやさしく整えてくれます。

おすすめメニュー
  • ツナと大根の和風サラダ
  • 鮭と白菜のクリーム煮
  • ネギ塩チキン

④ 緑黄色野菜(にんじん・ほうれん草・小松菜):乾燥対策に

ビタミンA(β-カロテン)は、冬の乾燥対策に欠かせない栄養素。
鼻・喉・肌の粘膜を守る、まさに“冬向けビタミン”です。

  • にんじん:粘膜保護に
  • ほうれん草/小松菜:ビタミンAと鉄が同時に獲れる
  • かぼちゃ:ビタミンAとビタミンEが同時に摂れて乾燥×冷えに強い

温かいスープや煮込みに使いやすいのも冬に嬉しいポイント。

おすすめメニュー
  • にんじんしりしり
  • 牡蠣とほうれん草のグラタン
  • かぼちゃのそぼろ煮

⑤ 海藻(わかめ・昆布):冬こそ不足しやすいミネラル補給に

冬は運動量が減りやすく、代謝や腸の動きもゆるくなりがち。
海藻はミネラル・食物繊維が豊富で、冬の栄養バランスの底上げに役立ちます。味噌汁やサラダに取り入れやすい優秀食材です。

おすすめメニュー
  • 豆腐とわかめの味噌汁
  • 海藻サラダ
  • ひじきの煮物

⑥ 発酵食品(味噌・ヨーグルト・キムチ):免疫の要“腸”を整える

冬に体調を崩しやすい原因の1つが、腸内環境の乱れ。
腸は免疫細胞の6〜7割が集まる重要な器官で、腸が整うと免疫も安定します。

冬は温かい発酵食品(味噌汁など)を味方にすると、体調の土台が整います。

おすすめメニュー
  • 豚汁
  • ヨーグルト×フルーツ(キウイ・バナナなど)
  • 納豆×キムチ×卵

毎日の食事でできる取り入れ方

冬の献立は「温かい×栄養密度が高い×粘膜ケア」を意識すると、寒さ・乾燥・日照不足による不調がぐっと軽くなります。毎日の食事の参考に、メニュー例をご紹介します。


:冷え&日照不足をリセットする朝ごはん
  • さけフレーク×卵の雑炊
    →鮭のビタミンD・オメガ3+卵の鉄・亜鉛を補給。温かい雑炊で体を温め、胃腸にもやさしいメニュー。
  • 豆乳かぼちゃスープ+全粒粉トースト
    →かぼちゃのβ-カロテンで乾燥対策。豆乳でたんぱく質&保温性アップ。
  • ヨーグルト×キウイ×はちみつ+ゆで卵
    →ヨーグルトの乳酸菌とキウイの食物繊維で腸活に◎ ゆで卵で鉄・亜鉛もプラス。
昼:乾燥と疲れをケアする栄養たっぷりランチ
  • 豚肉とほうれん草の味噌炒め定食
    →豚肉のたんぱく質・亜鉛とほうれん草の鉄・β-カロテンを補給。味噌で腸のケアも。
  • 鮭おにぎり+豚汁
    →コンビニでも買えるお手軽ランチ。鮭でオメガ3とビタミンDを、豚汁の根菜類で食物繊維を摂取。
  • クラムチャウダー+雑穀パン
    →シーフードの亜鉛・鉄を補給。牛乳と野菜で栄養バランスを整え、喉などの乾燥対策も。
夜:免疫&冷え対策をまとめてできる夕食
  • ぶり大根+小松菜のおひたし+わかめ味噌汁
    → 冬が旬の和定食。ぶりはたんぱく質・ビタミンD・オメガ3が豊富。小松菜や海藻でミネラルも◎
  • 鮭ときのこの味噌バター鍋
    → 鮭×きのこでビタミンDをしっかり補給。野菜や味噌で腸活にもばっちり。
  • 牛肉と白菜の生姜スープ煮+にんじんしりしり
    → 牛肉の鉄・亜鉛で冷えと疲れに◎白菜で消化を助け、生姜で体温UP。にんじんでβ-カロテンを補う

まっきー

朝は“体を起こす栄養”、昼は“乾燥と疲れケア”、夜は“温め&補修”の流れがポイントです

まとめ:冬は“ちょっとした意識”でぐっとラクになる季節

冬は、寒さ・乾燥・日照不足・生活リズムの乱れといった環境要因が重なり、1年の中でも不調を感じやすい季節です。しかし、原因がハッキリしているぶん、日々の食事や習慣を少し整えるだけで体調は大きく変わります。

特に冬に意識したい栄養素はビタミンD・ビタミンC・亜鉛・たんぱく質・鉄 の5つ。
これらをしっかり補うことで、免疫・冷え・疲れ・メンタルといった冬特有の悩みにアプローチできます。

また、旬の食材(牡蠣・小松菜・鮭・長芋・ブロッコリーなど)は、栄養価も高く冬の体を整える心強い味方。
毎日の食事に少しずつ取り入れることで、無理なく続けられます。

“冬は体のメンテナンスがしやすい季節” と捉えて、できるところから一つずつ。
この冬も、心と体を温める食事で快適に過ごしていきましょう。

参考文献

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