カルシウムの働きと過不足リスク|食材・メニュー例・サプリの選び方まで薬剤師が解説

「足がつりやすい」
「イライラしやすい」
「眠りが浅い」
——そんな不調、実は“カルシウム不足”が関わっているかもしれません。
カルシウムと聞くと「骨のための栄養」という印象が強いですが、実は筋肉や神経、ホルモンの働きにも欠かせない重要なミネラルです。それにもかかわらず、日本人のカルシウム摂取量は長年、推奨量に届かない状態が続いています。

この記事では、カルシウムの働きや不足リスク、どの食材に多いのか、毎日の食事で手軽に取り入れるコツまで分かりやすく解説します。骨はもちろん、疲れ・睡眠・メンタル面まで支えるカルシウム。今日から無理なく、効率よく摂る方法を見ていきましょう。

目次

カルシウムとは?

カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、その約99%が骨や歯に存在します。残りの1%は血液や筋肉、神経に分布。筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固、ホルモンの分泌など、全身の生理機能を支える重要な役割を担っています。

まっきー

カルシウムは生命活動の多くに関わる“調整役”とも言えますね

カルシウムは体内で合成できないため、毎日の食事から継続して補うことが必要です。しかし吸収率は20〜30%と決して高くなく、ビタミンD不足や加齢、運動不足などでも吸収効率は低下します。骨の健康だけでなく、日々の不調予防のためにも、意識して摂りたい必須ミネラルです。

カルシウムの主な働き

骨や歯の形成・維持

カルシウムと聞いて最初に思い浮かぶのが「骨と歯」。体内のカルシウムの99%がここに蓄えられており、まるで“貯金”のように体を支えています。

骨は一度作られたら終わりではなく、毎日少しずつ壊され、また作り直される「骨代謝」を繰り返しています。このとき材料となるのがカルシウム。十分に摂れていれば強くしなやかな骨が保たれますが、不足すると骨量が減り、将来の骨粗しょう症リスクにつながります。

カルシウムは成長期の子どもでは骨の成長に直結しますが、大人の骨密度維持にも不可欠。閉経後の女性や高齢者は吸収率が落ちるため、特に意識したい栄養素です。骨は健康の“土台”。毎日の積み重ねが数年後の体をつくるため、日頃から欠かさず補いたいミネラルです。

まっきー

女性は閉経後にホルモンバランスが変化することで、骨粗しょう症になりやすいとされています。


筋肉の収縮をサポート(足がつる・こむら返りの予防にも)

カルシウムは筋肉が「縮む」ためのスイッチの役割を持っています。筋肉が動くとき、カルシウムが細胞内に入り込むことで収縮が起こり、その後カルシウムが引き上げられると筋肉はゆるみます。この仕組みがスムーズに働いていると、立つ・歩く・物を持つなどの動作が自然に行えます。

しかしカルシウムが不足すると、筋肉の収縮と弛緩のバランスが乱れやすくなり、「足がつる」「寝ている間にふくらはぎがピキッとする」といった症状が出やすくなります。特に運動量が多い人や汗をよくかく人、妊娠中、夜間のこむら返りに悩む人は、カルシウム不足が潜んでいる場合も。

また、カルシウムと一緒に働くマグネシウムの不足も筋肉のけいれんに関わるため、両方をバランスよく取ることが大切です。毎日の食事の中で、小魚や乳製品、葉物野菜などをうまく組み合わせることで、筋肉疲労の軽減や快適な睡眠にもつながります。


神経伝達をスムーズにする(イライラ・不安感に関与)

カルシウムは、脳から体へ「情報を伝える」ためにも欠かせません。私たちの神経は、電気のような信号を細胞から細胞へと送ることで動いていますが、この信号の受け渡しに必要なのがカルシウムです。カルシウムが十分あると神経伝達がスムーズに行われ、気持ちが安定しやすくなります。

反対に不足すると、神経が過敏になりやすく「イライラしやすい」「不安を感じやすい」「集中力が続きにくい」といったメンタル面の不調が現れることがあります。

さらにカルシウムは睡眠にも関係しており、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌リズムを整える働きがあるとされています。寝つきが悪い・眠りが浅いといった悩みを抱える人は、カルシウム不足になっていないかチェックしてみてください。


ホルモンの分泌や血液凝固にも関係

カルシウムの働きは骨や筋肉だけではありません。体内では、ホルモンの分泌を促す“合図”としても使われています。例えばインスリンや副甲状腺ホルモンなど、生命維持に関わるさまざまなホルモンが、カルシウムの刺激を受けて分泌されます。食欲や代謝、血糖コントロールにも間接的に関与するため、日常の体調にも影響が及びます。

また、ケガをしたとき血液が固まって止血されるのも、カルシウムが血液凝固因子の働きを助けているためです。不足すると止血に時間がかかりやすくなるなど、意外なところに影響が出ます。

骨の栄養と思われがちなカルシウムですが、実は体内のあらゆる仕組みを支える縁の下の力持ち。少し不足するだけで、複数の機能に静かに負担がかかってしまうため、毎日の食習慣でコツコツ補うことが大切です。

カルシウムの摂取量と過不足リスク

カルシウムの摂取量

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、成人におけるカルシウムの「推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)」は、以下のようになっています。

年齢層男性 推奨量 (mg/日)女性 推奨量 (mg/日)
18〜29歳800650
30〜49歳750650
50〜64歳750650
65〜74歳750650
75歳以上750600

この数値を目安に、毎日の食事でしっかり補いたいところです。

カルシウムの不足リスク

カルシウムが不足すると、体はまず“血液中のカルシウム濃度”を保つために、骨に蓄えられたカルシウムを取り崩して補おうとします。これが続くと、骨密度が徐々に低下し、将来的な骨粗しょう症リスクが高まります。特に更年期以降の女性、高齢者、運動量が少ない人では注意が必要です。

また、骨以外にも影響が及びます。筋肉では収縮・弛緩のバランスが乱れ、足がつる・こむら返り・肩こりなどの不調が出やすくなることがあります。さらに神経の働きにも関わるため、イライラ感・集中力の低下・不安感といったメンタル面のゆらぎが起こることも。

慢性的な不足が続くと、歯のトラブル(虫歯・歯周病リスクの上昇)にも影響します。食生活の偏り、乳製品不足、吸収を妨げる生活習慣(運動不足・日光不足・食事の偏り)が積み重なると、知らず知らずのうちに不足に陥ることがあります。

カルシウムが不足する理由として推測されるのは——

  • 乳製品や魚を食べる頻度が少なく、摂取量が少ない
  • 加工食品中心の食生活
  • ビタミンD不足で吸収率低下
  • 閉経後は吸収率が急低下


摂取量については厚生労働省の調査で、日本の成人におけるカルシウムの平均摂取量が推奨量から大きく不足していることが報告されています。

まっきー

小さな不調の裏側に「カルシウム不足」が隠れていることは意外と多いため、日ごろから継続的な摂取を心がけることが大切です

カルシウムの過剰リスク

カルシウムは不足が心配される一方で、サプリメントの使い方によっては“過剰摂取”が起こる可能性もあります。

食事からの摂取で過剰になることはほとんどありませんが、サプリメントで高用量を続けると、高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が上がりすぎる状態)を引き起こすことがあります。
高カルシウム血症になると、吐き気・便秘・口の渇き・倦怠感などの症状が見られ、ときには腎臓に負担がかかり結石の原因となることも。また、過剰なカルシウムは鉄・亜鉛・マグネシウムなど他のミネラルの吸収を妨げ、結果として栄養バランスを乱すリスクがあります。

特に、ビタミンDのサプリと併用している場合には注意が必要です。ビタミンDはカルシウム吸収を強力に高めるため、知らないうちに血中濃度が上がりすぎるケースがあります。サプリを使用する場合は、**上限量(耐容上限量:2500mg/日)**を超えないこと、複数のサプリを併用しないこと、腎機能に不安がある場合は医師に相談することが大切です。

あわせて読みたいーカルシウムが関連する不調は▼こちら▼
・【睡眠】寝てもスッキリしない?「睡眠の質」を高める食事術

カルシウムの摂り方

食事でカルシウムを摂取する

カルシウムは、乳製品だけでなく魚介類・大豆製品・野菜など幅広い食材に含まれています。複数の食品を組み合わせることで、1日の推奨量にぐっと近づきやすくなります。

特に吸収率の高い乳製品をうまく取り入れつつ、和食でよく使う小魚・海藻・大豆食品をプラスすると、無理なく続けられるのがポイントです。

食材(1食分の目安量)カルシウム量
牛乳(200mL)約220mg
無糖ヨーグルト(150g)約190mg
プロセスチーズ(20g)約120mg
木綿豆腐(150g)約180mg
小松菜(70g:1/3束ほど)約120mg
しらす干し(15g)約70mg
いわし丸干し(40g:2尾)約220mg
さば缶(水煮)(200g:1缶)約520mg
桜えび(乾燥)(5g)約100mg
切干大根(戻し)(30g)約150mg
わかめ(戻し)(50g)約70mg
アーモンド(20g)約50mg
まっきー

カルシウム摂取の王道、乳製品はやはり含有量が多いですね。骨や殻を丸ごと食べる小魚や桜えびなども少量で効率よく摂取できます

カルシウムを効率よく摂取するポイント

カルシウムは他の栄養素の影響を受けやすい成分です。そのため、カルシウムを効率よく摂取したい場合、他の栄養との相性も見逃せません。

特に注意したいのはこの3つ。

カルシウムとビタミンDはセットで働く関係です。ビタミンDには腸でのカルシウム吸収を高め、骨に取り込む働きをサポートする役割があります。そのため、ビタミンDが不足すると、せっかくカルシウムを摂っても吸収率が上がらず、結果的に骨に届きにくくなります。
ビタミンDは「日光(紫外線)」と「食品(鮭・サバ・卵・きのこ類)」から補えますが、日照時間が少ない冬やインドア生活が続く人では不足しがち。カルシウムを効率よく使うためには、ビタミンDを同時に確保することが不可欠です。

カルシウムは他の成分と結びつきやすい性質があり、特にシュウ酸とリンには注意が必要です。
シュウ酸はほうれん草・タケノコ・ナッツなどに多く、腸内でカルシウムと結合すると“シュウ酸カルシウム”となり吸収が低下します。
リンは加工食品(ハム、ソーセージ、インスタント食品、清涼飲料水)に多く含まれ、摂りすぎるとカルシウムとのバランスが崩れ、骨からカルシウムが動員されやすくなります。特にファストフードや甘い清涼飲料をよく飲む人は要注意です。

まっきー

カルシウムを効率よく摂取するためには、「ビタミンDを増やす」「シュウ酸やリンを減らす」ことがポイントになります

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・【ビタミンD】骨と免疫を守るビタミンDの働きと不足リスク、上手な摂り方

実践!毎日の食事に取り入れるコツ

カルシウムは「一度にたくさん」よりも、「毎食コツコツ」のほうが吸収率も良く、続けやすいのがポイントです。乳製品・大豆製品・小魚・野菜など、種類を分けて取り入れると、自然に1日の推奨量へ近づきます。ここでは、忙しい日でも作りやすいメニュー例を朝・昼・夜別に紹介します。

:忙しい朝でも手軽にカルシウムを補給
  • 切り干し大根の煮物+小松菜と豆腐の味噌汁
    →ヨーグルトで吸収率の高いカルシウムを補給しつつ、オムレツに小松菜を加えて野菜由来のカルシウムもプラス。
  • しらすトースト+牛乳
    →トーストにマヨネーズ+しらす+チーズをのせて焼くだけ。忙しい朝でもすぐに作れる手軽さが魅力。
  • スムージー(牛乳+バナナ+ほうれん草)
    →牛乳がベースになるので補給効率がよく、青菜のカルシウムも同時にとれる万能ドリンク。
昼:外でもカルシウムをを意識して
  • 豆腐入り味噌汁+焼き魚定食
    →豆腐は吸収しやすく、焼き魚(特に骨ごと食べられる小型魚)はカルシウム補給の強力アイテム。
  • チーズ入りオムライス
    →卵とチーズの相性が良く、ボリュームも満点。ランチの満足感も高い1品。
  • 高菜としらすのおにぎり+ヨーグルト
    →コンビニなどでも買いやすい組み合わせ。豆腐やきのこの味噌汁も加えると◎
夜:1日の疲れを癒しながら体を整える
  • 鮭のホイル焼き+小松菜と厚揚げの炒め物
    →厚揚げは豆腐よりカルシウムが濃縮されています。鮭にはビタミンDも含まれ、吸収率アップにも◎。
  • チーズ入りグラタン
    →乳製品の王道メニュー。ホワイトソースに牛乳を使うことでさらに効率よくカルシウムが摂れます。
  • 豆腐ステーキ+海藻サラダ
    →豆腐でしっかりカルシウムを補い、海藻でミネラルバランスも整います。軽めに仕上げたい日にも便利。

サプリメントで補給する

カルシウムは基本的に食事からの摂取が理想ですが、忙しさや食の好みによって「どうしても不足しやすい」という人もいます。そのような場合、サプリメントを“補助的に”利用するのは一つの方法です。ただし、カルシウムは摂りすぎによるリスクもあるため、使い方にはいくつか注意点があります。

● サプリを選ぶときのポイント
  • ビタミンD配合のものを選ぶ
     ビタミンDはカルシウムの吸収を高めるため、セットで摂ると効率が良くなります。
  • 炭酸カルシウムより乳酸カルシウム・クエン酸カルシウムが吸収されやすい
     胃酸の分泌が少ない人や高齢の方は「乳酸」「クエン酸」タイプが負担なく吸収しやすいのが特徴です。
  • 1回に大量ではなく、複数回に分けられるタイプがおすすめ
     カルシウムは一度に大量に摂っても吸収されにくいため、“少量×数回”のほうが効率的です。
● 推奨量と摂りすぎのリスク
  • サプリとして摂る場合、基本は1日200~300mgを上限の目安にしましょう。
     (食事との合計で、摂取基準の上限値を超えないようにします)
  • カルシウムを過剰に摂り続けると、高カルシウム血症(吐き気・便秘・倦怠感)や、腎結石のリスクが高まることがあります。
  • 特に、カルシウムサプリを「水以外」や「鉄サプリ」と同時に飲むと吸収の競合を起こすことがあるため、組み合わせとタイミングに注意しましょう。
● サプリを使いたい人はこんなケース
  • 乳製品や魚を食べられない
  • 食が細く、食材だけで十分に摂れない
  • 妊娠・授乳中で特に必要量が増える
  • 骨密度が低めと指摘された(治療は開始していない)
まっきー

薬を服用中の方は、医師や薬剤師にサプリメント服用について相談しましょう。特に骨粗しょう症の治療などでビタミンD製剤を服用中の方は、注意が必要です

サプリはあくまで「不足分の補助」であり、基本は食事での摂取がベースです。食事+サプリのバランスを意識して、無理なく続けられる方法を選びましょう。

まとめ

カルシウムは「骨の栄養」というイメージが強いですが、実際には 筋肉の収縮・神経伝達・ホルモン分泌・血液凝固 など、身体のあらゆる生命活動を支える欠かせないミネラルです。にもかかわらず、日本人は慢性的に不足傾向にあり、食生活や生活リズムの変化によってますます摂取量が減りやすくなっています。

日々の食事では、乳製品・大豆製品・小魚・青菜 の4つを意識し、種類を分けて取り入れることで自然と摂取量が増えていきます。また、ビタミンDを含む食材(鮭、卵、きのこ類)を組み合わせると、吸収率アップにもつながります。

さらに、毎食で少しずつカルシウム源を加えるメニュー作りや、時にはサプリを“補助的に”活用することも、無理なく続けられる方法です。

カルシウムは「今日からの行動」で確実に積み上げられる栄養素。骨の健康だけでなく、メンタルや筋肉の調子を整えるためにも、日々の食事に上手に取り入れて、未来の健康をつくっていきましょう。

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参考文献

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