ビタミンB群とは?種類・働き・不足サイン・食材【薬剤師が解説】

疲れやすい、肌が荒れやすい、イライラしやすい——そんな“なんとなく不調”の背景には、ビタミンB群の不足が隠れていることがあります。ビタミンB群は、エネルギーづくり・メンタル・血液・肌など、体のさまざまなはたらきを支える“代謝の要”。しかし、種類が多くてそれぞれの役割が分かりにくく、「結局どれを意識すればいいの?」と迷いやすい栄養素でもあります。

そこで本記事では、8種類あるビタミンB群をまとめて理解できるよう、働き・不足サイン・食材の選び方をやさしく整理しました。まずは全体をつかんで、体調管理に役立ててみてください。

目次

ビタミンB群とは?

ビタミンB群とは、水溶性ビタミン9種類のうちビタミンCを除いた、8種類の水溶性ビタミンの総称です。体の中でエネルギーをつくったり、肌や粘膜を守ったり、脳や神経の働きを支えるなど、さまざまな代謝に関わっています。

ビタミンB群の特筆すべきは「単独で働くというより、8種類がチームとして連携して働く」という点。たとえば食事からとった糖をエネルギーに変えるにはB1が、皮膚や粘膜の維持にはB2やB6が、神経の安定にはB6・B12・葉酸などが必要とされるように、“1つだけ高めても効果は完結しない”という性質を持っています。

水溶性のため体内に貯めておくことができず、余った分は尿として排出されます。そのため、毎日の食事でこまめに補うことが大切。偏った食事やストレスが多い生活、お酒をよく飲む習慣がある人、エネルギー消費が多い人ほどビタミンB群を消耗しやすく、不足すると疲れ・口内炎・肌荒れ・集中力の低下といった小さな不調につながりやすくなります。

まっきー

ビタミンB群は互いに補い合いながら働くため、ビタミンB「群」と呼ばれています

ビタミンB群の種類と働き

ビタミンB群の種類

ビタミンB群は8種類ありますが、働きはそれぞれ微妙に異なります。とはいえ難しく捉える必要はなく、「代謝、神経、血液・肌」のどこをサポートしているかをざっくり把握するだけで十分です。

種類特徴
ビタミンB1糖質の代謝
ビタミンB2脂質の代謝、皮膚・粘膜を保護
ビタミンB6たんぱく質の代謝、ホルモンバランスの安定
ビタミンB12神経機能の維持、造血作用
ナイアシン(ビタミンB3)300以上の酵素の働きに関与、肌の健康維持
パントテン酸(ビタミンB5)ストレス耐性、ホルモン生成に関与
ビオチン(ビタミンB7)皮膚機能の維持
葉酸(ビタミンB9)造血作用、妊娠・胎児の成長に関与
まっきー

数字に欠番があるのは、他のビタミンと同一と判明したりビタミンではないと判明したりで統廃合されたためです

ビタミンB群の主な働き3つ

① 代謝のサポート(エネルギーづくり)

ビタミンB群のなかでも最も代表的な働きが「代謝のサポート」。私たちが食事から摂った糖質・脂質・たんぱく質は、そのままではエネルギーとして使えず、体内で分解して使える形に変換する工程が欠かせません。ここで欠かせない補酵素が、B1・B2・ナイアシン・パントテン酸といったビタミンB群です。

特にB1は“糖質の代謝”に深く関わり、不足するとエネルギー変換がスムーズにできず「疲れやすい」「だるい」という不調が現れやすくなります。また、脂質代謝が滞ると肌や粘膜にも影響が出やすく、B2が不足すると口内炎や肌荒れが起きやすい理由もここにあります。さらにナイアシンは300種類以上の代謝反応に関わるとされ、体のエネルギーづくりを土台から支える存在です。

エネルギー代謝の要となるため、運動量の多い人、忙しくて疲れが抜けにくい人、ストレスが多い人、お酒を飲む習慣がある人ほどビタミンB群の消耗が大きくなります。疲れが慢性的に続くときは「睡眠不足」「鉄不足」と並んで、ビタミンB群の不足にも注目したいところです。


② メンタル・神経のサポート

ビタミンB群はエネルギーだけでなく、“心の働き”にも深く関わっています。特にB6・B12・葉酸は、脳の神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)の合成に関わるため、メンタルの安定とも密接に関係。B6が不足するとイライラ、落ち込み、集中力の低下などが出やすいと言われています。

B12と葉酸は“赤血球の形成”に関わるため、脳へ酸素を運ぶ働きにも間接的に影響します。また、B12は神経細胞を包む「髄鞘(ずいしょう)」の維持にも必要で、不足すると手足のしびれなどの神経症状が起きることもあります。

さらにストレスが多い時期、冬季に気分が落ち込みやすい時期、ホルモンバランスが揺らぎやすい時期などは、ビタミンB群の必要量がぐっと増えることがあります。「よく眠れない」「気持ちが落ち着かない」「やる気が出ない」といったサインを感じるとき、ビタミンB群はそっと心身を支える存在として役立ちます。


③ 血液・肌・粘膜のサポート

ビタミンB群は赤血球をつくるときにも必要です。特にB12と葉酸は血液の形成に欠かせず、不足すると“巨赤芽球性貧血”というタイプの貧血を引き起こします。赤血球がしっかり働かないと酸素が全身に行きわたりづらく、息切れ・動悸・疲労感にもつながります。

また、B2・B6・ビオチンは皮膚や髪、爪、粘膜の健康維持に関与します。これらのビタミンは新陳代謝のスムーズな入れ替わりに必要で、不足すると口内炎、口角炎、ニキビが出やすい、爪が割れやすい、肌荒れしやすいといったトラブルが起こりがち。特に偏食やダイエットで食事が偏っているとビタミンB群が不足しやすく、肌の調子が揺らぎやすくなります。

まっきー

ビタミンB群は様々な代謝に関与するため、”栄養の土台”とも言えます。健康維持には欠かせないため、毎日の食事から意識していきましょう

ビタミンB群が不足するとどうなる?

ビタミンB群が不足すると、最初に現れやすいのは「ちょっとした不調」です。たとえば、疲れやすい、だるい、集中力が続かない、イライラしやすい、気分が落ち込みやすいなど。これらはストレスや睡眠不足のせいにされがちですが、ビタミンB群の不足はメンタルや神経の働きにも影響するため、小さな変化として現れがちです。

肌や粘膜では、口内炎や口角炎、唇の荒れ、ニキビなどが出やすくなることがあります。これは皮膚の新陳代謝がスムーズに行われにくくなってしまうため。また、B12や葉酸が不足すると赤血球の形成が追いつかなくなり、貧血症状が現れます。

ビタミンB群が不足しやすい原因として…
  • 糖質中心の食生活
  • 睡眠不足やストレス過多
  • お酒を飲み過ぎる
  • 加工食品の摂取頻度が高い
まっきー

「最近疲れやすい」「肌が荒れがち」「気持ちが落ち着かない」というときは、食生活を振り返るサインかもしれません

不調別、摂取したいビタミンB群

ビタミンB群は万人に必要な栄養素ですが、特に不足しやすい人・必要量が増えやすい人がいます。基本的にはどれも万遍なく摂った方が良いですが、普段の生活習慣や体調によって特に意識したいビタミンB群を表にまとめました。

不調・生活習慣意識して摂りたいビタミンB群
疲れやすい、だるさが続くビタミンB1、B2、B6、ナイアシン
ストレスが多い、メンタルが不安定ビタミンB6、B12、葉酸
肌荒れ、口内炎ビタミンB2、B6、ビオチン
貧血ビタミンB12、葉酸
妊娠中ビタミンB1、B2、B6、葉酸
甘いものを食べる、お酒を飲むことが多いビタミンB1、ナイアシン
筋トレ、運動習慣が多いビタミンB1、B2、B6、B12
まっきー

栄養改善を意識していても不調が続く場合は、医療機関を受診しましょう

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効率よく摂るには?食材の選び方と組み合わせ例

ビタミンB群が豊富な主な食材

ビタミンB群は、幅広い食材に含まれるのが特徴です。たとえば、豚肉はB1が豊富で“疲れ対策の定番”。鶏むね肉・鮭・まぐろ・サバなどはB6やナイアシンが多く、代謝や皮膚の健康を助けます。卵、納豆、レバー、玄米、全粒粉パンなども複数のビタミンBをまとめて摂れる優秀な食品です。

下の表は、食材毎に含まれている主要なビタミンB群をまとめたものです。ビタミンB群を含む食材を選ぶ時の参考にしてみてください。

食材多く含むビタミンB群コメント
レバー(豚・鶏・牛)B1・B2・B6・B12・葉酸・ナイアシン・パントテン酸ビタミンB群の宝庫。特にB12と葉酸が多く、貧血対策にも有効。
豚肉B1・B2・B6・ナイアシン・パントテン酸疲れ・だるさ対策の定番。糖質の代謝を助けるB1が抜群に豊富。
鶏肉B6・ナイアシン・パントテン酸代謝や皮膚の健康をサポート。疲労ケアにも◎
魚(まぐろ・鮭・サバなど)B6・B12・ナイアシンメンタルケアや神経の働きをサポート。鉄分もプラス。
B2・B12・パントテン酸・ビオチン「完全栄養」と呼ばれるほど。肌・粘膜・赤血球づくりをサポート。
納豆・大豆製品B1・B2・B6・葉酸・ナイアシン・ビオチンたんぱく質と一緒に代謝を底上げ。腸内環境にも好影響。
玄米・雑穀B1・B6・ナイアシン白米を置き換えるだけで代謝サポートが向上。
いも類(じゃがいも・さつまいもなど)B1・B6・パントテン酸糖代謝をサポート。日常的に取り入れやすい。
ほうれん草・ブロッコリー葉酸・B2・B6野菜の中でも特に葉酸が豊富。妊娠を意識する女性におすすめ。
牛乳・ヨーグルトB2・B12・パントテン酸エネルギーづくりに関わるB2がしっかり。朝食にも取り入れやすい。
きのこ類B2・B6・ナイアシン・葉酸低カロリーでB群を効率よく補給。食物繊維も豊富で腸にも◎
海藻類B1・B2・B12・葉酸手軽に取り入れられ、ミネラルも豊富。おにぎりや味噌汁と相性◎。

加工食品中心、白米やパンだけに偏った食生活、甘いものの摂り過ぎはビタミンB群を消耗しやすく、不足のきっかけになりやすいので要注意。特に現代人は炭水化物中心のメニューになりがちなので、豚肉・魚・卵などをしっかり取り入れ、タンパク質源から自然にビタミンB群を確保するのが効率的です。


ビタミンB群を効率よく摂る組み合わせ例

ビタミンB群を万遍なく摂るためには、1つの食材だけでなく複数の食材を組み合わせることが大切。ビタミンB群は“動物性=B12・B2・ナイアシンが多い”と“植物性=B1・B6・葉酸が多い”という特徴があるので、両方を組み合わせるのがおすすめです。組み合わせ例をいくつか紹介するので、メニュー選びの参考にしてみてください。

① 鶏肉 × 玄米
  • 狙い:エネルギーづくりを強化(B1・B3・B6)
  • 玄米の B1+鶏肉の B6・ナイアシン がそろうと、糖質・脂質・たんぱく質の代謝が一気に回りやすくなります。
    鶏むねの照り焼き+玄米ご飯 など。
② 鮭× さつまいも
  • 狙い:疲労回復サポート(B6・ナイアシン)
  • 鮭の B6・ナイアシン と、さつまいもの B6 が重なり、神経の調整やエネルギー産生を後押し。
    鮭とさつまいものシチューなど。
レバー × ニラ
  • 狙い:赤血球&肌の土台づくり(葉酸・B12・B2)
  • レバーの B12・B2、ニラの 葉酸 を組み合わせると、鉄と合わせて造血に必要な栄養素がきれいにそろいます。
    レバニラ炒めなど。
卵 × 納豆(+玄米)
  • 狙い:代謝を底上げする“完結セット”
  • 卵の B2・B12、納豆の B6・葉酸・ビオチン、玄米の B1 が揃うと、ビタミンB群ほぼ全体をカバー。
    納豆卵かけ玄米ご飯 など。
さば × じゃがいも
  • 狙い:脳・神経をサポート(B6・B12・パントテン酸)
  • さばの B12・B6 と、じゃがいもの B6・パントテン酸 が重なり、神経の働きを調整しやすい組み合わせ。
    さば缶とじゃがいもの味噌煮 など。
まっきー

ビタミンB群はセットで働くため、単品を強化するよりも食材をバランスよく組み合わせるほうが効果的です

ビタミンB群同士の組み合わせ以外にも、相性の良い組み合わせはあります。たとえば、豚肉などに含まれるビタミンB1は、玉ねぎやにんにくに含まれるアリシンと一緒に調理すると吸収が高まりやすいという特徴があります。魚や鶏肉に多いB6は、たんぱく質を多く摂る食事と相性がよく、代謝を助けながら筋肉づくりの効率を高めます。

葉酸はビタミンCと一緒に摂ると吸収が落ちにくく、サラダ・温野菜・フルーツなどと組み合わせると理想的。ナイアシンやパントテン酸なども含め、多くのビタミンBは“全体の栄養バランスの中”で力を発揮します。複数の種類をまとめて摂れる献立を意識すると、自然と代謝もメンタルも整いやすくなります。


まとめ

ビタミンB群は、代謝、メンタル、血液、肌など、体を支えるあらゆる場面で大切な役割を果たす“縁の下の力持ち”。単独ではなくチームで働くため、特定のひとつだけを強化するよりも、食事をバランスよく整えることが何より重要です。疲れが続く、気分が落ち込みやすい、肌の調子が安定しないといった不調は、ビタミンB群不足のサインかもしれません。

豚肉、魚、卵、納豆、玄米など、身近な食材でも効率よく摂ることができます。まずは日々の食事の中で、少しずつ取り入れるところから始めてみると、体の軽さや気分の安定につながりやすくなるので、意識してみてください。

参考文献

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