【薬剤師が解説】「風邪をひきやすい…」と感じたら? 免疫力を支える栄養素と食事術

なんとなく風邪をひきやすくなった、疲れが抜けにくい、肌の調子がいまいち…。
そんな“ちょっとした不調”が続いていませんか?

季節の変わり目や寒い時期は、体の免疫力が下がりやすい時期。
「免疫力」と聞くと特別なもののように思えますが、実は日々の食事・睡眠・生活リズムなど、私たちの“暮らしの積み重ね”が深く関わっています。

栄養の偏りや睡眠不足、ストレス、腸内環境の乱れなどが重なると、体を守る免疫細胞の働きが弱まり、ウイルスや細菌に負けやすい状態に。
反対に、バランスのとれた食事や十分な休養を意識することで、私たちの体は本来の防御力を取り戻していきます。

この記事では、

  • 免疫力が下がる主な原因
  • 免疫を支える栄養素と食材
  • 毎日の食事への取り入れ方

を薬剤師の視点からやさしく解説します。

「最近体調を崩しやすいかも」と感じている方も、今日からできる“免疫ケア習慣”を見つけてみましょう。

目次

免疫力が下がるのはなぜ? 主な原因

「免疫力が落ちている」と感じるとき、実際には体の防御システムのどこかがうまく働いていない状態です。
免疫は、栄養・睡眠・腸内環境・体温など、さまざまな要素に支えられています。
そのため、ひとつでもバランスを崩すと、ウイルスや細菌に対する抵抗力が下がってしまうのです。
ここでは主な4つの原因を見ていきましょう。


① 栄養バランスの乱れ

免疫細胞も、私たちの体と同じく「食べたもの」から作られています。
その材料となるのが、たんぱく質・ビタミン・ミネラルといった栄養素です。

たとえば、たんぱく質が不足すると免疫細胞の数そのものが減り、ウイルスを退治する力が弱まります。
また、ビタミンCや亜鉛が足りないと、免疫細胞の働きが鈍くなることも。
反対に、脂質や糖質の摂りすぎも注意が必要です。血糖値の乱れや炎症反応を起こしやすくなり、免疫バランスが崩れてしまいます。

栄養は単体ではなく、組み合わせて摂ることで力を発揮します。

まっきー

主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事が、免疫の土台づくりにつながります

② 睡眠不足やストレス

睡眠中は、体の修復や免疫細胞の働きが活発になる時間です。
夜にしっかり睡眠を取ることで、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)やヘルパーT細胞など免疫を司る細胞が活発に働きます。しかし、睡眠が不足するとこれらの働きが低下し、感染症リスクが増大。

また、ストレスが続くと「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌され、免疫の司令塔の働きを抑えてしまいます。
「寝ても疲れが取れない」「気持ちが張りつめたまま」という状態は、免疫力低下のサインかもしれません。

まっきー

「夜しっかり眠る」「ストレスを発散」
この2つは特に重要な”免疫ケア”といえるでしょう


③ 腸内環境の乱れ

腸は、免疫細胞の約7割が集まる「免疫の要」。
腸内の善玉菌が優勢な状態では、ウイルスや病原菌の侵入を防ぎ、免疫の過剰反応も抑えてくれます。

一方で、食物繊維不足やストレス、不規則な生活が続くと悪玉菌が増え、腸内環境が乱れます。
その結果、免疫細胞が正しく働かなくなり、風邪をひきやすくなったり、肌荒れや便秘などの不調が現れたりします。

毎日の食事に発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌など)や食物繊維(野菜・海藻・きのこ・豆類)を取り入れることが、腸から免疫を整える第一歩です。


④ 運動不足・冷え

軽い運動は、血流を良くし、体温を上げることで免疫細胞の働きを活性化します。
しかし、運動不足や冷えが続くと、血行が滞り、体のすみずみまで免疫細胞が行き届かなくなります。

特に冬は体温が下がりやすく、体が冷えることで防御反応が鈍くなりがちに。
冷えを感じたら、温かい食事や入浴、軽いストレッチなどで体を温める工夫をしましょう。

まっきー

“体温1℃アップ”が、免疫力を高める近道です

免疫力を支える主な栄養素

免疫力を高めるには、「体を守るしくみ」がきちんと働くよう支える栄養が欠かせません。
ここでは、免疫細胞の働きを助ける代表的な栄養素を紹介します。
どれか1つだけを多くとるよりも、日々の食事の中でバランスよく取り入れることが大切です。


栄養素・食材主な働き多く含む食品
たんぱく質免疫細胞や抗体の材料となり、体を守る力をつくる鶏むね肉、卵、大豆製品など
ビタミンC白血球の働きを助け、ウイルスへの抵抗力を高めるブロッコリー、柑橘類、パプリカなど
ビタミンD免疫バランスを整え、過剰な炎症を防ぐ鮭、いわし、きのこ類など
亜鉛免疫細胞の働きや粘膜の修復をサポート牡蠣、豚肉、納豆など
発酵食品・食物繊維腸内環境を整え、腸から免疫機能を高める納豆、ヨーグルト、味噌、きのこ、海藻類など
オメガ3脂肪酸炎症を抑え、免疫の過剰反応を防ぐいわし、さば、えごま油など
βグルカン自然免疫を活性化し、ウイルスへの防御力を高めるしいたけ、まいたけ、えのきなど

たんぱく質:免疫細胞の材料になる

たんぱく質は、筋肉や臓器だけでなく、白血球や抗体などの免疫細胞をつくる材料でもあります。
不足すると、体を守る“兵隊”そのものが減ってしまい、ウイルスに立ち向かう力が弱まります。

また、免疫細胞は常に新しく作り替えられているため、毎日少しずつ補うことが大切です。
特に、肉・魚・卵・大豆製品などを主菜としてしっかり摂ることがポイント。
「朝は卵+納豆」「昼は鶏肉や魚」「夜は豆腐や大豆料理」と、1日を通して意識的に分散させると理想的です。


ビタミンC:白血球の働きを助ける

ビタミンCは、免疫細胞(特に白血球)の機能を高める重要な栄養素です。
体内でウイルスや細菌と戦うときに大量に消費されるため、こまめな補給が必要になります。

また、ビタミンCには抗酸化作用があり、ストレスや炎症から細胞を守る働きも。
風邪予防だけでなく、疲れ・肌荒れ対策にも役立ちます。

食材では、ブロッコリー・ピーマン・キウイ・柑橘類などが豊富。
水溶性で熱に弱いため、蒸す・電子レンジ加熱・生のままなど、調理法を工夫して効率よく摂りましょう。


ビタミンD:免疫バランスを整える

ビタミンDは「骨のビタミン」として知られていますが、実は免疫の司令塔の働きを整える栄養素でもあります。
体内の免疫反応が過剰にならないようブレーキをかけつつ、外敵への防御力も高める、まさに“調整役”です。

特に冬は日照時間が短く、体内でのビタミンD合成量が減りやすい季節。
そのため、食事からの補給が重要になります。

おすすめは、鮭・いわし・サバなどの魚類、または卵黄やきのこ類
週に数回、魚料理を取り入れるだけでもビタミンDの維持に役立ちます。


亜鉛:粘膜や免疫細胞の機能をサポート

亜鉛は、免疫細胞の生成や働きに関わるミネラルです。
不足すると、免疫反応が鈍くなったり、のどや鼻などの粘膜が弱くなったりします。

さらに、味覚や皮膚の健康にも関与しているため、風邪をひきやすい人や口内炎ができやすい人は、亜鉛不足を疑ってみてもよいでしょう。

多く含む食材は、牡蠣・牛肉・レバー・納豆・チーズなど。
動物性と植物性の両方から取り入れることで、吸収率を高めることができます。
過剰摂取には注意しながら、バランスを意識して取り入れましょう。


発酵食品・食物繊維:腸内環境から免疫を支える

免疫の約7割は腸に集中しています。
そのため、腸内環境を整えることは、免疫ケアの要といえます。

ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品は、善玉菌を直接補給できる食材。
一方、食物繊維(野菜・海藻・豆類・きのこなど)は、善玉菌のエサになり、腸内での増殖を助けます。

どちらも毎日の食卓で少しずつ摂ることが大切です。
「朝はヨーグルト」「昼は味噌汁」「夜は野菜やきのこをたっぷり」など、1日の中で自然に取り入れていくと、腸から免疫を底上げできます。


まっきー

免疫を支える栄養素はどれも特別なものではなく、普段の食事の中で十分に摂ることができます

栄養素の働きについてより詳しく知りたい方は▼こちら▼も合わせてご覧ください。
【たんぱく質】たんぱく質の働きとは? 基礎からわかる3つの役割
【ビタミンC】正しいビタミンCの基本!免疫・疲労回復・美容への影響と摂取方法
【ビタミンD】骨と免疫を守るビタミンDの働きと不足リスク、上手な摂り方

免疫力を高めたい時におすすめの食材・メニュー

免疫力を支える栄養素は、毎日の食事から自然に取り入れるのがいちばん。
ここでは、体を守る力を高めたいときに意識して選びたい食材と、その活用メニューを紹介します。
「特別な健康食品」よりも、「普段の食卓にあるもの」を上手に活かすことがポイントです。


■ 鶏むね肉・卵:良質なたんぱく質補給

免疫細胞の材料となるたんぱく質をしっかり摂るには、脂質が少なく消化の良い鶏むね肉が最適です。
鶏むね肉は、体内でエネルギー代謝を助ける「イミダペプチド」も含み、疲労回復にも役立ちます。
卵は必須アミノ酸をバランスよく含む「完全食品」。食欲がないときでも手軽に栄養を補えます。

おすすめメニュー
  • 鶏むね肉の生姜スープ
  • ゆで卵入りサラダ
  • 親子丼

■ ブロッコリー・ピーマン・果物:ビタミンCを効率よく摂る

ビタミンCを効率的に摂るには、ブロッコリーやピーマンなどの野菜の他、柑橘類(みかん、レモンなど)やキウイなどの果物を組み合わせるのがおすすめ。
水溶性で体にためておけないため、毎日こまめに摂ることが大切です。

ブロッコリーには、免疫細胞を活性化するスルフォラファンも含まれています。
蒸したり電子レンジ加熱したりして、加熱しすぎないように調理しましょう。

おすすめメニュー
  • ブロッコリーとキャベツのナムル
  • 無限ピーマン
  • フルーツ入りヨーグルト

まっきー

その他、野菜では小松菜やさつまいも、果物では柿などもビタミンCが豊富です

■ 青魚:ビタミンDとオメガ3で炎症を抑える

鮭・いわし・サバなどの青魚には、免疫バランスを整えるビタミンDが豊富。
さらに、EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)が含まれ、体内の炎症反応を抑える作用もあります。

風邪をひきやすい時期やアレルギーが気になる季節には、週に2〜3回を目安に魚を取り入れるのがおすすめです。

おすすめメニュー
  • 鮭ときのこのホイル焼き(ビタミンD+βグルカンの組み合わせ)
  • いわしのトマト煮
  • サバ缶カレー

■ 発酵食品:腸から免疫をサポート

腸内環境を整える発酵食品は、免疫ケアの基本。
納豆やヨーグルトは、善玉菌を補いながら腸内のバランスを整え、体全体の免疫力を底上げします。

善玉菌は毎日摂ってこそ効果を発揮します。
「朝はヨーグルト、夜は納豆ごはん」といったように、1日2回の習慣化が理想的です。

おすすめメニュー
  • 納豆+キムチ+オクラの発酵トリオ丼
  • 豆腐とわかめの味噌汁
  • ヨーグルトスムージー

■ きのこ類:βグルカンで自然免疫を活性化

しいたけ・まいたけ・エリンギ・しめじなどのきのこ類には、免疫細胞を刺激して働きを高めるβグルカンが含まれます。
この成分は、体の“最前線”で働く自然免疫(マクロファージやNK細胞など)をサポートする作用があるといわれています。

さらに、きのこは低カロリーで食物繊維も豊富。腸内環境の改善にもつながります。

おすすめメニュー
  • きのこと鶏むね肉の味噌炒め
  • きのこの炊き込みご飯
  • キノコペースト

免疫力を高める食事は、特別なことではなく、「いろいろな食材を少しずつ」取り入れることが基本です。

まっきー

同じ食材でも調理法を変えることで飽きずに続けられます

1日の中での取り入れ方

免疫力を高めるには、どんな栄養素を摂るかだけでなく、「いつ・どんなバランスで摂るか」も大切です。
朝・昼・夜それぞれの時間帯に合わせた食べ方を意識すると、栄養の吸収や体調リズムが整いやすくなります。
ここでは、1日の流れに沿って、免疫ケアを取り入れるポイントを紹介します。


朝|体を目覚めさせる「スタートの食事」

たんぱく質とビタミン・ミネラルを組み合わせて、体をスイッチオンしましょう。

  • ごはん+納豆+豆腐の味噌汁
  • トースト+卵+ヨーグルト+みかん
    →眠っている間に低下した体温を上げ、免疫細胞を活性化させます
まっきー

忙しい朝でも、納豆やヨーグルトなど「火を使わずに食べられるもの」を選ぶと続けやすくなります


昼:エネルギーと栄養のバランスを整える

日中は活動量が多いため、しっかりとエネルギー補給することがポイント。

  • サバの塩焼き+玄米+小松菜の味噌汁
  • サラダチキン+全粒粉パン+野菜スープ
    →筋肉や免疫細胞の材料となるたんぱく質を摂りつつ食物繊維で腸内環境を整えます
夜|回復と整える「リセットの食事」

1日の疲れを癒し、体を修復する時間帯。胃腸への負担を減らすため、消化の良いものを選びましょう。

  • 鮭ときのこのホイル焼き+野菜の味噌汁
  • 牡蠣の豆乳鍋+雑炊
    たんぱく質+ビタミンD+亜鉛で免疫細胞の再生をサポート。

まっきー

食後は温かいお茶でリラックスし、自律神経を整えることも免疫力の維持に役立ちます


免疫力は、サプリや特定の食品だけで劇的に上がるものではありません。
「毎日少しずつ、バランスよく」続けることが何より大切です。

  • 食事は抜かず、3食リズムを整える
  • 加工食品・糖質過多を控え、腸内環境を守る
  • 十分な睡眠と軽い運動を習慣にする

このような小さな積み重ねが、体の防御力を底から支えてくれます。
季節の変化や忙しい日々の中でも、小さな工夫で「続けられる免疫ケア」にすることを意識してみましょう。

まとめ|免疫力は「日々の食事と生活習慣」で育てられる

「免疫力を高めたい」と思ったとき、特別なサプリや食材に目が向きがちですが、実はその土台は毎日の生活にあります。
栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、そして心を休める時間——これらの積み重ねが、からだの防御力をじっくり育てていきます。

食事面では、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・発酵食品を意識的に取り入れることがポイントです。
毎食に主菜・副菜・汁物をそろえるだけでも、自然と免疫を支える栄養素が揃いやすくなります。

また、「少し疲れている」「風邪をひきやすい」と感じたときは、無理をせず休息をとることも大切です。
からだの回復力が働くのは、しっかり休んでいるとき。
頑張りすぎず、自分のペースを大切にしましょう。

免疫力は一朝一夕で高まるものではありませんが、日々の食事と生活習慣の積み重ねで、確実に強く育てていけます。
今日の食卓から、少しずつ「からだを守る力」を整えていきましょう。

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参考文献

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