こんにちは、薬剤師まっきーです。
健康や美容に欠かせないビタミンC。以前からメディアやネットでたくさん取り上げられているので、みなさんもご存知ですよね。
ただ、情報がありすぎて「どの情報が正しいか分からない」なんて方はいませんか?
そこで今回は、ビタミンCの働きのなかでも特に関心の高い
- 免疫力アップ
- 疲労回復
- 美容効果
の3つを重点的に、信頼できる研究や公的機関のデータをもとに、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。

摂取量の目安や食事に取り入れるコツなども紹介しているので、ぜひご覧ください
ビタミンCとは?免疫・疲労回復・美容に働く水溶性ビタミン


ビタミンCの基本的な役割
ビタミンC(アスコルビン酸)は、人の体内では合成できない必須の水溶性ビタミンです。水に溶けやすく、体にため込めないため、毎日の食事から補う必要があります。
ビタミンCの働きは幅広いですが、注目したい主な役割は以下の4点です。
ビタミンCが不足するとこれらの働きが十分にできず、次のような不調が現れます。
- 軽度不足:疲労感、肌のくすみ、集中力低下
- 中度不足:免疫低下
- 重度不足:壊血病(歯肉出血、関節痛、創傷治癒遅延、皮下出血など)(参考文献③)



現代ではペットボトル飲料などの保存料としても使われているため、一般的な食事が取れていれば重度の不足(壊血病)になる心配はありません
ビタミンCに対する近年の研究では、健康状態の改善や慢性疾患予防との関連も報告されており、様々な分野で研究が進んでいます。今回の記事では、特に関心度の高い 免疫・疲労回復・美容 の3つの分野での働きをご紹介します。
ビタミンCと免疫力の関係


ビタミンCは免疫システムの潤滑油
白血球(特に好中球やリンパ球)には高濃度のビタミンCが存在し、侵入したウイルスや細菌を排除する機能を助けます。さらに、抗酸化作用により炎症を抑え、免疫細胞の働きを守ることも明らかになっています。
ビタミンCの血中濃度が低いと、これらの免疫機能がうまく働かず、呼吸器感染症などのリスクが高まる可能性も。喫煙者、高齢者、慢性疾患を抱える人などは特にビタミンCが不足しがちなので注意が必要です。
まだ十分なエビデンスが集まってはいませんが、様々な研究報告でビタミンCを日常的に摂取することで風邪の罹患日数を短縮できる可能性や、呼吸器感染症のリスクを低下させる可能性が示されています(参考文献①・②)。



感染症予防のための具体的な摂取量などについても、今後の研究に期待です
ビタミンCと疲労・疲労感の関係


みなさんは「疲労」と「疲労感」の違いはご存知ですか?この2つ、同じように思えるかもしれませんが、実は違うものなんです。具体的には次のような違いになります。
【定義】
生体の活動能力が一時的に低下している客観的な状態。
例:筋肉の収縮力低下、集中力や判断力の低下など。
【原因】
筋肉や神経の酷使
過度な集中作業
感染症や代謝異常
栄養・休養不足
【対策】
十分な休養・睡眠
バランスの良い食事
適度な運動(回復力を高める)
【定義】
疲労を主観的に自覚する感覚、心理的な訴え
例:だるい、重い、やる気が出ないなど
【原因】
疲労に加え、情動や心理状態の影響を強く受ける
抑うつ、不安、慢性ストレス、睡眠の質低下などが関与
【対策】
生活リズムの調整
ストレスマネジメント(瞑想、趣味、カウンセリング)
症状が長引く場合は医療機関を受診(貧血・甲状腺疾患・慢性疲労症候群などを鑑別)
意外と違うことがお分かりいただけたでしょうか?
この違いを知ったうえで、疲労・疲労感とビタミンCの関係を見てみましょう。



ちょっと分かりにくいなという方は、次のように捉えてみてください。
「疲労」=肉体や頭脳が実際に疲れている状態
「疲労感」=”疲れている”と感じている気持ち・感覚
疲労とビタミンCの関係
疲労とは、簡単に言ってしまえばエネルギー不足な状態です。消費するエネルギー>産生するエネルギーとなると、疲労状態になってしまいます。また、活性酸素が蓄積することでも筋肉の疲労が起こりやすいです。
ビタミンCは体内のエネルギー産生に関与しています。さらに抗酸化作用を持っているため、活性酸素によるダメージも軽減可能です。しかし、ビタミンCが不足しているとこれらの働きも期待できなくなってしまいます。
十分な量のビタミンCを日常的に摂取することで、疲労軽減に役立つことが研究でも示唆されています。また、ビタミンCは鉄分の吸収にも関与しているため、鉄不足による疲労軽減にも貢献可能です(参考文献②)。



ビタミンCは植物性食品に多い非ヘム鉄の吸収を促進します
疲労感とビタミンCの関係
疲労感は慢性的なストレスなどで、心理的に”疲れた”と感じている状態です。これを軽減するためには、ストレス耐性を高めることが有効。
ビタミンCはストレス耐性に関与するホルモンの合成を助ける働きがあり、ストレス応答の調整に不可欠な存在です。また、神経伝達物質の合成にも関与しており、脳内での抗酸化作用と併せて認知機能や気分の安定化に好影響を与える可能性が示されています(参考文献②)。



ビタミンCはビタミンEなど抗酸化作用を持つほかの栄養素の働きもサポートするため、一緒に摂ると相乗効果が期待できます
ビタミンCと美容効果


ビタミンCは「美肌ビタミン」と呼ばれるほど、皮膚の健康と美容に深く関わっています。コラーゲン合成に必須の栄養素であることをご存知の方も多いのではないでしょうか。
ビタミンCはコラーゲン合成の補酵素として働き、肌のハリや弾力を保ちます。さらに、強力な抗酸化作用によって活性酸素から皮膚細胞を守り、メラニン生成を抑えることで色素沈着やくすみを改善してくれるんです 。
近年では、経口摂取だけでなく外用による応用研究も進み、ビタミンC配合の美容液やクリームが肌の質感改善に寄与するエビデンスも増えてきました 。こうした作用から、日常的なビタミンCの摂取やスキンケアは、美容とエイジングケアの両面で注目されています(参考文献④)



食事による摂取とビタミンC配合の美容液のW効果で、体の内側からも外側からもキレイになりましょう
ビタミンCの摂取量


ビタミンCの免疫・疲労回復・美容 の3つの分野での働きを見てきましたが、ビタミンCは1日にどれくらい摂れば良いのでしょうか?実は免疫や疲労回復、美容効果などを得るために必要な量は、まだはっきりと分かっていないんです。
日本の食事摂取基準は成人で約 100mg/日を推奨量としています。これはビタミンC欠乏による壊血病や過度な免疫力低下を防ぐために必要とされている量(10mg/日)よりも多めに設定されています。健康維持や生活習慣病予防も意識した値のため、ビタミンCの摂取量が足りないと心配な方は、1日100mgくらいの摂取を目指しましょう(参考文献⑤)。
1日100mgを超えてくると、さらなる免疫力向上や美容効果が期待されています。具体的な摂取量は研究によって様々ですが、1日200mg程度を基準とした研究結果が多いようです。ただ、試験条件や被験者の体質などによっても効果は大きく異なるとされています(参考文献②)
ビタミンCは水溶性なので多く摂取しても余剰分は体外に排出されるため、深刻な過剰症の心配はないとされており、日本では上限量の設定がされていません。ただし、人によっては摂り過ぎによる下痢や吐き気、胃痛などの消化器症状を引き起こすことがあるので、サプリなどで高用量を摂取する場合はご注意ください(参考文献⑥)
ビタミンCの摂り方


ビタミンCの推奨されている摂取量は分かりましたが、みなさんは十分な量を日頃から摂れていますか?
厚労省の調査では、働き盛りの20代~50代の平均摂取量が1日100mgに届いていないことが分かっています(参考文献⑦)。
そこで、より効率良く摂取するための方法をご紹介します。
ビタミンCを食材で摂る~果物・野菜のおすすめ各5選~
まずはビタミンCを多く含む食材をご紹介。スーパーなどで手に入りやすく、調理などもしやすいものを選んでみました。
果物(約1食分のビタミンC量)
- グレープフルーツ(1/2個:72mg)
- キウイフルーツ(1個:71mg)
- イチゴ(10粒:62mg)
- 柿(1個:140mg)
- みかん(1個:32mg)
野菜(約1食分のビタミンC量)
- パプリカ(1/2個:128mg)
- ブロッコリー(小房5~6個:84mg)
- 小松菜(おひたし1皿:27mg)
- サツマイモ(中サイズ1/2個:29mg)
- トマト(中サイズ1個:23mg)
調理時のポイント
- 生食が最も効果的
→加熱での損壊や水による流出が少ない - 加熱は蒸す・電子レンジ調理がおすすめ
→水との接触が少なく残存率が高い - ゆでる場合はスープに
→ビタミンCが流出しても汁ごと飲める
実践!ビタミンCを毎日の食事に取り入れるコツ
実際に普段の食事に取り入れる方法をまとめましたので、ご自身の生活で実践可能なものがあれば参考にしてください。
朝食で手軽に
- 納豆ご飯+小松菜の味噌汁
→ 非ヘム鉄×ビタミンCで吸収アップ。冷凍の小松菜を味噌と一緒にお椀にいれてお湯を注ぐだけ。 - ヨーグルト+フルーツ
→ 発酵食品と食物繊維で腸活にも。冷凍ミックスベリーならヨーグルトに混ぜるだけでOK - 100%オレンジジュース+全粒粉パン
→ ジュースでビタミンC、全粒粉パンで鉄が摂れる。余裕があれば目玉焼きでたんぱく質もプラスすると◎
昼食にちょい足し
- サラダ+レモン汁ドレッシング
→ 普通のサラダも、レモンをひと絞りでビタミンC量UP。 - コンビニおにぎり+カットフルーツ
→ 外食やコンビニ利用でも、フルーツを一品加えるだけでOK。 - 野菜スープ+パプリカやブロッコリー
→ ビタミンCたっぷりの食材をスープで無駄なく摂取。
夕食でしっかり
- 豚肉+小松菜+パプリカで中華炒め
→ 鉄分もビタミンCもしっかり摂取。野菜はサッと炒める程度でOK - 鶏肉+サツマイモでシチュー
→ たんぱく質とビタミンCを同時に。栄養バランス◎。 - サバの塩焼き+大根おろし+柚子ポン酢
→ さっぱり食べられてビタミンCも摂取。大根おろしをおろすのは食べる直前がおすすめ。
おやつで仕事や勉強の合間にも
- みかん・柿・イチゴ → 皮をむくだけ、カットするだけの手軽さ。
- ドライフルーツ(キウイ・マンゴー) → 持ち運びに便利で外出時におすすめ。
- ビタミンC配合のお菓子 → コンビニなどで手軽に買える。カロリーの摂り過ぎには要注意。
ポイントまとめ
- 「1日3回の食事+おやつ」に分散して取り入れると吸収効率UP
- 鉄と組み合わせる意識で「疲労回復・免疫サポート」に直結
- 旬のフルーツや野菜を活用するとコスパも良い



ご自身の生活に合うものはあったでしょうか?普段の生活に取り入れて、上手にビタミンCを摂ってくださいね
サプリメントで摂る
食事からの摂取が基本ですが、多忙な日々を送っているなど、栄養バランスを気に掛ける余裕がない場合もあると思います。そんな時は、ビタミンCを含むサプリメントを利用するのも一つの方法です。
ただし、ビタミンCの過剰摂取は下痢や胃痛、吐き気などの消化器症状を引き起こすことがあるため、各サプリの用法用量を守り、同成分を含む複数のサプリを服用することは避けましょう。
まとめ:ビタミンCで免疫・疲労回復・美容をサポート
- ビタミンCは 免疫強化・疲労回復・美容 に欠かせない栄養素
- 現代人は不足しがちなので、意識的に摂取することが大切
- ビタミンCを多く含む果物や野菜で効率的に。必要に応じてサプリで補う
- 鉄やビタミンEなどとの組み合わせでさらなる効果が期待できる



ビタミンCが不足すると疲労や美容の面で損してしまうかも。今回の記事を参考に、1日100mgの摂取を目指しましょう!
それでは今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考文献(リンク付き)
- The Role of Vitamin C in Human Immunity and Its Treatment Potential Against COVID-19: A Review Article
- Vitamin C: A Comprehensive Review of Its Role in Health, Disease Prevention, and Therapeutic Potential
- Prevalence, risk factors, and clinical outcomes of vitamin C deficiency in adult hospitalized patients in high-income countries: a scoping review
- Topical Vitamin C and the Skin: Mechanisms of Action and Clinical Applications
- 【厚生労働省】1―6 ビタミン(②水溶性ビタミン)
- Alleviation of ascorbic acid-induced gastric high acidity by calcium ascorbate in vitro and in vivo
- 厚生労働省「国民健康・栄養調査」2022 第1部 栄養摂取状況調査の結果